中華料理特集 メニュートレンド:中華でトマトはこう使え! 「中華料理 李園」

2010.11.01 380号 03面
鮮やかな赤いスープには、キクラゲと青菜が浮かぶ。麺は軟らかい極細麺。酢とは異なるトマトならではの軽やかな酸味と甘みがクセになる

鮮やかな赤いスープには、キクラゲと青菜が浮かぶ。麺は軟らかい極細麺。酢とは異なるトマトならではの軽やかな酸味と甘みがクセになる

本牧通り沿いにある庶民的な中華料理店。河北さんは、中華料理店を営む両親のもとで修行した後、同店を開業。トマトメニュー以外にも「ネギあえ冷やし麺」(800円)などオリジナリティーのある料理が人気だ

本牧通り沿いにある庶民的な中華料理店。河北さんは、中華料理店を営む両親のもとで修行した後、同店を開業。トマトメニュー以外にも「ネギあえ冷やし麺」(800円)などオリジナリティーのある料理が人気だ

 空前のトマトブームに沸く外食業界だが、その原点ともいうべき味が横浜・本牧にあった。「中華料理 李園」は、20年以上のロングヒットメニューである「トマトタンメン」を筆頭にしたトマトメニューが人気の店。一駅先には横浜中華街があるにもかかわらず、同店にはおいしい中華料理を求めて遠方からもお客が訪れる。トマトが果物なみに甘くなったのも、人気野菜の仲間入りしたのも、ほんの数年前のこと。まだ酸っぱい野菜だったころからトマトの可能性を見出してきた同店に聞いた。

 ◆ヘルシーな赤いスープは男女問わず人気

 「トマトタンメン」の誕生はさかのぼること20年ほど前。「妻が自宅でトマトと卵を使った炒め物をよく作ってくれて、おいしかったので店でも出してみようと思ったのがきっかけ」と中華料理 李園店主の河北光さん。当時のトマトは現在のように品種改良が進んでなく「酸っぱい」野菜だった。それでも同店のトマトタンメンは一躍名物メニューとなり、現在も1日20食以上出る変わらぬ人気ぶりである。

 一食に大玉のトマトを丸々一個使用する。炒めた後に鶏がらと豚骨をじっくりと炊き上げた自家製スープを注いでトマトを溶かし込むように沸騰させる。もちろんこのトマトスープは作り置きすることなく、ツーオーダーで1食分ずつ丁寧に作られる。さっぱりとやさしい酸味とうまみのおいしさは、「深酒した次の日には必ず注文する」など、男性客にも人気が高いという。テレビや週刊誌などでも紹介され、駅から離れた場所にありながら、週末になると遠方からのラーメンファンも多数訪れる。

 メニューはほかに「牛トマトメン」(940円)、「牛トマト飯」(940円)、「エビトマト飯」(940円)、「トマト玉子炒め」(890円)、「牛角煮とトマト煮込み」(1470円)と、トマトメニューが目白押しだ。「お客の要望に応えていったら自然と増えてしまった」と河北さんは苦笑い。テーブル3卓とカウンター6席の小規模店にもかかわらず、多い日には20kg近くものトマトが消費されるというから驚きだ。

 空前のトマトブームに沸く昨今だが、河北さんのトマトメニューはもはや流行に左右されない定番の味として愛され続けている。

 ●店舗情報

 「中華料理 李園」 所在地=神奈川県横浜市中区本郷町1-18/開業=1985年/営業時間=午前11時半~午後2時半、5時~10時、月休/坪数・席数=11坪・19席/客数=約100人/客単価=約1700円

 ●愛用資材・食材:「李錦記 潮州辣椒油」

 輸入元=(株)大栄貿易公司(本社=東京都千代田区神田神保町)

 ラーメンやギョウザに欠かせないラー油だが、同店では香港の大手調味料メーカー李錦記のものを使用。同社は広東省南水鎮で1888年創業し、現在は香港に本拠地を置き世界中に本場の味を提供している。同社はオイスターソースを発明したメーカーとしても世界的に知られている。同商品は、広東省東部の潮州地方に伝わる独特の製法で作った具入りラー油。唐辛子とニンニクを香りよく炒めたのちごま油に漬け込んで、うまみのある辛さに仕上げている。

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