焼肉特集:シンポ・田中利明社長に聞く 焼肉業界のオンリーワン企業目指す

2012.01.02 394号 05面

 日本の焼肉の発展は、その洗練されたおいしさだけではなく、モクモクと煙が立ち込める食環境から、煙や衣服に付く匂いを一掃し、快適に食べられる食環境を創り上げた無煙ロースターの登場が大きい。無煙ロースターは、「おいしいけれど、服に匂いが付くのがいや」という女性客、スーツ姿のビジネスマン、そしてファミリー層の焼肉への不満を解消し、客層を広げ、焼肉を国民食のスペシャルディナーへと進化させたといっても過言ではない。無煙ロースターのパイオニア企業であり、日本市場で圧倒的なトップシェアを誇るシンポの田中利明社長に現在の焼肉市場とシンポの取り組みについて聞いた。

 ●顧客と二人三脚で繁盛店づくり アジアで日式焼肉広げるお手伝いを

 –現在の日本の焼肉市場は。

 田中 3月の東日本大震災の影響で、東北・関東市場は大きく落ち込みました。そして4月にはユッケ食中毒事件、7月には国産牛肉の放射性セシウム汚染と相次ぐトラブルにより、焼肉市場は一時、20%以上も落ち込みました。特に放射性セシウム汚染問題は消費者の不安感が強く、どうなるかと心配しましたが全頭検査体制などがしっかり機能しているため、消費者の不安が払拭され、焼肉消費が戻るのは早いと思います。

 –厳しい市場環境の中、繁盛店づくりのお手伝い役としてシンポの取り組みは。

 田中 当社は日本全国の焼肉店の生きた情報を持っているという強みがあります。この生きた情報を元に無煙ロースターの販売だけでなく、お客さまの相談相手として、お客さまの悩みが少しでも軽減できるような提案を行っています。

 新規出店を考えられているお客さまには不動産の紹介から、出店希望地の周辺地域の焼肉店の軒数、客層、所得などのエリアマーケット情報を調査し、そのデータを、お客さまの店舗のコンセプトづくりなどに活用していただいています。そして、店舗設計、店舗デザイン、空調設備までのすべてを提案させていただいています。

 そして、当社は売りっぱなしではなく、アフターフォローも万全の態勢を整えています。繁忙期にロースターが使えないとお客さまの売上げに大きく響きます。そのため当社では、お客さまからの緊急コールは24時間体制で当番のセールスエンジニアにつながります。機器トラブルの6割は、機械のセットミスなどで、電話説明だけで解消しています。「シンポ社員の声が聞けるだけでも安心できる」と言っていただいているお客さまも多いです。

 また、最近ではお客さまのコストダウンのお手伝いとしてウーロン茶、ジャスミン茶などの粉末茶の販売も行っています。従来のPETボトルでの仕入れよりも歩留まりが良く、原価率が下がるとお客さまから好評をいただいています。

 店舗はできるまでではなく、完成して、営業が始まってからが大切です。初期投資をいかに抑えるかも大切ですが、お客さまと二人三脚で繁盛店づくりを行っていくためのトータル的な提案とアフターフォローに当社は重点を置いています。

 –2011年、満を持して神府貿易(上海)有限公司を創設されました。

 田中 20年以上前から無煙ロースターの輸出を通して、日式焼肉を世界のスペシャルディナーとして普及するための努力を進めてきました。アジア沿岸部を中心に輸出の実績は上がってきましたが、これまでは個人輸入で導入していただいているというレベルでした。

 上海を中心に日式焼肉が盛り上がっているといっても、まだようやく認知されてきたというレベルです。本格的にスペシャルディナーとして根付かせるにはまだ努力が必要です。日本同様にアジアでも日式焼肉の普及と繁盛店づくりのお手伝いとしての役割を果たしていきたいと思います。

 また、中国に進出を考えられている日本のお客さまからの中国進出のパートナーとしての大きな期待を感じています。

 –今後の国内の焼肉マーケットは。

 田中 日本の外食市場は縮小傾向にありますが、焼肉は国民食として根付いており、廃れることはありません。しかし、市場に合わせて変化していく必要はあります。高齢化社会に合わせたメニューづくり、女性向けの「美容」「健康」をコンセプトとしたメニュー開発なども必要です。当社も変化に対応した機器開発が必要になると思います。

 –今後の抱負は。

 田中 無煙ロースターの専門企業として、焼肉業界におけるオンリーワン企業を目指していきます。現在の無煙ロースターの国内シェアは50~60%ですが、このシェアをさらに高めていきたいです。

 そのためには、お客さまとの信頼関係をさらに強固なものとし、焼肉のことは「まずシンポに相談しよう」と、お客さまから最初に声をかけていただける企業を目指しています。

 ●シンポ(株) 無煙ロースターのトップブランド 焼肉の新価値創造を強力サポート

 創業以来、今日まで一貫して「焼く食文化」の発展に努めてきたシンポ。「私たちは私たちの幸せをお客さまと共有するために、良い仕事をする、いい商品をつくる、最善のサービスをするよう努めます」を基本理念に、ハード面のみならずソフト面においても誠心誠意を込め、トータルシステムの店舗づくりにひとつひとつ対応し、繁盛店を作り上げていくことに徹している。無煙ロースターの納入実績は、国内1万6000店、海外500店以上。

 設立=1971年4月

 本社=〒465-0015 名古屋市名東区若葉台110番地、TEL052・776・2231、FAX052・776・2263

 事業所=札幌支店、東京支店、名古屋支店、大阪支店、仙台営業所、福岡営業所、名古屋工場

 海外子会社=神府貿易(上海)有限公司(上海市長寧区楼山関路85号、東方国際大厦13層A座06室、TEL8621・6278・9977、FAX8621・5234・0510)

 HP=http://www.shinpo.jp/

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: 焼肉店