アポなし!新業態チェック(69)ロイヤルホストのカレー専門店「カレー家族」

2012.10.01 403号 14面

 ●「野菜おかず(サブジ)&洋食カレー」の新業態お値打ちサブジバー

 外食大手のロイヤルホストが、カレー専門店「カレー家族」の1号店を東京・原宿にオープンした。同社では、1983年から「夏のカレーフェア」が毎年恒例となっており、暑い夏にカレーを食べる外食習慣をつくり上げたのは同社のカレーフェアだともいわれる。今年で30年目を迎えるこのカレーフェアで蓄積されたノウハウを生かし「野菜おかず(サブジ)&洋食カレー」の専門店という新しいスタイルの業態としてスタートしたのがこの店。

 同社のカレーは、肉や魚のブイヨンを使った洋食カレーが特徴。約30種類のスパイスの中から、素材に合わせた独自の組み合わせを選び、それぞれに異なるルーの風味を生み出している。30年間のカレーフェアでは、延べ131品目のカレーメニューが提供されたが、この店ではその中から「カシミールカレー」や「マドラス シュリンプカレー」「マハラジャ インドチキンカレー」(どれもライスの量が3種類あり、S710円、M760円、L860円)といったよりすぐりの5種類のアイテムを販売。2種類のカレーを1皿に盛ったメニューもあり、ライスは白米か玄米を選ぶことができる。インドでは一般的な惣菜の「サブジ」は野菜をスパイスで炒め煮した料理。カレーとセットの場合は120円で1回だけ盛り付け放題のサブジバーはお値打ちメニューである(単品では390円)。

 この店は、新業態のパイロットショップという位置付けで、年内3店舗、14年末までに15店舗体制を目指すとのこと。このところ、次々と新業態を発表する同社に期待が集まっている。

 ★けんじの評価

 オープンから1ヵ月ほど過ぎた平日の夕方、久しぶりに地下鉄の表参道駅を出て原宿方面へと向かう。1959年からここにあるという表参道のランドマーク伊藤病院の角を曲がり、スターバックスの前を過ぎると、角地のビルがこの店の入居するアペティートカフェである。

 ここは恐らく30年以上前からロイヤル社の拠点店舗であったはずだ。このエリアの一角は、かつて大洋漁業(マルハ)のマンボウズや、すかいらーくのフロ表参道など、食関係企業のプレステージ店舗が出店していたことで知られるが、このアペティートカフェもそのひとつだった。

 「ロイホ」のカレーフェアといえば、外食業界では知らぬ者のない長寿フェアだが、さすがに30年も続いていたとは恐れ入った。30年分のアイデアを凝縮したカレーが常時食べられるという新業態は、業界だけではなく多くのカレーファンの心をくすぐったようだ。ネット上でも、この店の話題はかなり沸騰している。

 入店してまずちょっと意外だったのが、どう見ても居抜き店舗の壁面や天井をグラフィック装飾で飾ったという感じの、ややカジュアルな内装デザインだ。あのロイヤルホストが、伝家の宝刀である「カレー」を前面に打ち出した新業態としては、少しばかり安易な雰囲気が漂っていなくもない。

 メニューにあるすべてのカレーを食したわけではないが、ロイヤルホストのカレーに間違いがあるはずはない。しかし、価格帯と立地、利用目的を考えたとき、この物件がこの業態にほんとうにふさわしかったのかどうかは、やや疑問が残る臨店となった。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期からFFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウォッチャー。

 ●店舗情報

 開業=2012年7月13日/所在地=東京都渋谷区神宮前4-3-2(アペティートカフェ表参道店内)

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