惣菜弁当の殿堂(14)一平寿し「レタス巻き」 航空関係者の口コミが新婚旅行客に波及
「レタス巻き」は宮崎市の寿司店「一平寿し」を発祥とする宮崎県の郷土料理。いまや食品スーパーの惣菜売り場で定番化している「サラダ巻き」の元祖ともいわれる。誕生は1966年。初代店主・村岡正二氏が、友人の作曲家・平尾昌晃氏の野菜嫌いを直そうとして、「エビ+レタス+マヨネーズソース」の巻きネタを創作した。以来、近隣のホテルに宿泊するパイロット、スチュワーデス(当時)がレタス巻きを目当てに来店するようになり、それが宮崎を訪れる新婚旅行客に波及し観光スポット化。後、同業者の追随が相次いで宮崎のご当地料理に発展した。
●調理概要:手巻きでふんわり レタスの食感を生かす
調理方法はシンプル。海苔に酢飯とレタスを敷き、マヨネーズソースにたっぷり付けたエビをレタスにのせ、手巻きにして包丁で二等分に切る。エビは尾を開かずに下ゆでしたもの。レタスは季節により信州から福岡までの産地から厳選。シャリは宮崎産の高地米「ヒノヒカリ」を使用。海苔は有明産。
「レタスのクリスピー感を生かすため、巻きすは使わず、手巻きでふんわりと巻きます。その絶妙な巻き加減が決め手。シンプルなだけに熟練の技法が必要」(村岡浩司社長)と言う。
●販売実績:節句時はテークアウト 予約で倍増
レタス巻き3本半(7カン)の単品販売のほか、握り寿司セットの一品にも組み込まれており、トータルで1日平均1000本ほど巻く。節句の繁忙期は折り詰め(テークアウト)の予約注文が多く、2000本に達する日も珍しくない。地元では年越しそばとレタス巻きをセットで食べるのが大晦日の醍醐味とされ、また、1本食べても軽いことから、近年は恵方巻きでも大繁盛している。
●ポイント:粘度が弱く鮮度感が抜群
毎朝仕込むオリジナルマヨネーズソースが決め手。卵、酢、サラダ油をベースに香味野菜、柑橘果汁などを加えたもので、粘度が弱く、乳化系ドレッシングのような舌触りが特徴だ。「なにより鮮度感が抜群。サラッとしてシャリとエビによくなじみます。それでいてレタスの食感を妨げない。まさに一平寿しのレタス巻きの命です」(村岡浩司社長)とし、土産商品「一平のすしマヨ」の売れ行きも上々。
●食材・資材の決め手
使用食材「ヤマダイ 純米酢」
生きたコメのうま味が自慢
宮崎の豊かな自然の中、日本一の照葉樹林地帯で研ぎ澄まされた「綾の名水」を仕込から割水まですべてに使用。九州産の特別栽培米を原料に古式醸造法にて造り上げた純米酢。生きたコメのうま味が自慢。屋外の巨大かめつぼで時間をかけて醸造される。
規格=900ml、業務用20L
●会社概要
(有)一平 所在地=宮崎県宮崎市松山1-8-8/営業時間=午前11時~午後10時、火曜定休/事業内容=1966年創業。「一平寿し」を基幹に「タリーズコーヒー」6店舗など多角事業を展開。