インサイドレポート:中華調味料の乱 「創味シャンタンDX」VS「味覇」のガチンコ対決

2015.04.06 433号 04面
「創味シャンタンDX」家庭用市場参入で早々にスーパー各社は大量陳列を実施

「創味シャンタンDX」家庭用市場参入で早々にスーパー各社は大量陳列を実施

 中華料理の素市場では近年、一発で味が決まる簡便性を特徴にする液体パウチやチューブ入り商品が続々登場している。その中で今春、創味食品がロングセラーの業務用缶入中華ペースト調味料「創味シャンタンDX」を家庭向けにも展開すると発表した。すでに全国の量販チェーンが次々導入して、2月実績で40チェーンを超える量販店で大陳企画の販促が進んだ。発売から半世紀以上過ぎた今、創味食品が缶のダウンサイジングで同品を家庭用市場へ投入し、量販店各社が支持する理由とは?

 ●業務用缶入りロングセラー家庭向け参入

 1961年発売の「創味シャンタンDX」は、プロに欠かせない中華ペースト調味料として中華料理界で地位を確立。創味食品は業務用調味料メーカーとして、業務用市場に限定して同品を展開していた。発売20年ほどを経た80年代初め、神戸の中華材料専門商社に、中身は「創味シャンタンDX」で同社専用に「味覇(ウェイパァー)」と名を変えた商品の製造を依頼される。その後、両社は各商品名で業務用と家庭用の市場をすみ分け、友好関係を築きながら中華料理の素市場を盛り上げてきた。

 だが昨年春、同中華材料専門商社が「ウェイパァー」の名で容器を変えた類似品を他メーカーに製造依頼して発売したことで、長年の販売提携が壊れる。その結果、創味食品は市場規模35億円超(推計)の「ウェイパァー」の商品供給を3月末で終了し、中華材料専門商社は他メーカーで製造開始と両社は決裂した。

 食品業界では優良ブランドの横展開はありがちだが既存商品を他メーカーに製造依頼する話は前例がない。さらに「創味シャンタンDX」のレシピは外部へ出ていないもようで、製造元が変わる「ウェイパァー」の味に消費者がどう反応するかも今後のポイントになる。経緯を知る量販店は変化が少ないとされる中華調味料棚でも、「創味シャンタンDX」の採用や一部店舗で全面切り替えを早々に進めてコトPOPで“元祖中華ペースト調味料”と周知している。中華料理の素市場では今春、本家の白と商品知名度の赤の2色の缶が熱い戦いを繰り広げそうだ。

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