名古屋版・繁盛店ルポ:知多家・岩塚店、好評週替わりランチ

1999.09.20 187号 10面

最近外食通りとしてチェーンの出店が続く岩塚周辺に位置するのが、全国に二三店舗展開中のとんかつ「知多家」の岩塚店。中部における大手外食チェーンのチタカ・インターナショナル・フーズ(株)が経営する。

昭和63年に第一号店をオープンしたとんかつ知多家は、郊外型とんかつ店の先駆けともいわれ、従来の男くさいとんかつ店のイメージを払拭して話題となった。しかし平成5、6年ごろから大手チェーンのとんかつ業態への参入が続き競争が激化。それとともに他店に比べると少し高い客単価一六五〇円~一七〇〇円であった知多家は、バブル崩壊とも相まって以後低迷の道をたどることになる。

そしていよいよ不景気の波は、外食の中でもとんかつ業態を直撃。撤退が相次ぐが、その中で唯一知多家だけはパイオニアの意地を見せ、平成9年から全面的な方針の見直しを始め成功へと駒を進めてゆく。

「徹底した品質への取り組みを行いました。販促よりもまず内容の充実を考えたわけです。たとえば今まで購入していたカットキャベツは店内でカットすることにし、無洗米は中止してこれも店内にて水でとぐことにしました」(松元一郎常務)

「あくまでも一〇〇点満点をめざします。その結果〇点が出たとしても完璧なまでこだわり続ける」という姿勢だ。数字の下げ止まりを確認して、昨年5月から週二回がせいぜいのランチタイムの来店頻度を上げる対策を講じる。それが、定番のかつメニューアイテムのほかに増やした週替わりランチ(八八〇円)の設定だ。

さらにかつカレーも加えた。また、定番のロースかつ御膳、一口ヒレかつ御膳、ヒレかつ御膳などはディナーより四〇〇円お得のそれぞれ七八〇円、八八〇円、一一八〇円とした。

今年の5月からは「ランチタイムのビジネスマンはカバーできたが、午後1時~2時半までのアイドルタイムに接待用や女性の集客を高めるため」(松元常務)、松花堂弁当(九八〇円、一二八〇円)やレディース御膳(一五八〇円)を新しく設けた。

では、それをどのように夜へつなげてゆくか。松元常務は「女性客をいかに固定化させるかがポイント。それには、知多家の看板であるロースやヒレに加えて魅力あるかつメニューバージョンをどれだけ持てるか、でしょう」と言う。

その結果おろしかつ御膳、味噌かつ御膳、エビかつ御膳、知多家三昧御膳に、東京で人気の火で煮込みながら食べるみそ煮込みかつ御膳などを取り入れる。客が選べる楽しさを持てるメニューづくりをめざす。

昨年は売上げ前年対比一〇五%と上々。のぼり調子。来期には二店の出店を見込む。「現在の平均客単価は一四〇〇円だが、マスのメリットを生かしてゆくゆくは一〇〇〇円を切る料金設定ができたら」と、品質を充実させた上で価格をさらに抑える試みは終わりがないようだ。

◆「知多家・岩塚店」(名古屋市中村区畑江通八‐二八‐一、Tel052・482・0866)

◆チタカ・インターナショナル・フーズ(株)本部(愛知県西春日井郡、Tel0568・23・4481)

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