名古屋版:繁盛店ルポ「ゼットンズナゴヤ」多目的タイプの居酒屋

1999.10.18 190号 11面

名古屋駅の北側に位置する「ZETTONZ」は桜通から少し入ったビジネス街にある。飲食店が密集する南側と比較すると夜間は特に閑散とした地域だ。しかし、店の構えこそ決して大きくはないが都会の一角にある異色の空間が存在感を増大させている。

特徴的なのは店の外観。店の正面はオープンテラス、壁は木目を生かした造りになっていて、店内は外から丸見えの状態だ。みずみずしいフルーツをふんだんに使ったデザートがガラスケースに並んでいるのが目に留まり、ついつい店内へ引き込まれてしまう。日中はランチ、カフェタイムとして利用でき、夜は「新しいタイプの居酒屋」(大崎浩一朗店長)として、レストラン、CAFE、バーとしても利用できる。ターゲットにしている客層のし好を完璧に押さえた多目的スペースなのだ。

現在(株)ゼットンは名古屋市に四店舗展開しているが各店舗ごとに店の雰囲気をがらりと変え、料理も店舗ごとにかえている。ここ、nagoya店においては和洋折衷にとらわれない創作料理が食べられる。「韓国キムチと海鮮のナムル包み」(八〇〇円)、「フランスパンのグラタン」(六八〇円)は人気メニュー。どの料理も素材の組み合わせが面白く、盛りつけも洗練されている。

デザートも充実しており「カリフォルニアオレンジのプリン」(四〇〇円)はオレンジ味のプリンの上にフレッシュなオレンジの果肉をのせたもの。同店ではランチタイム、カフェタイムもあるためデザート類の需要も高い。

安くおいしいと評判のランチは二種類の日替わりメニューでランチプレートかパスタをセレクトできる。各八〇〇円。ドリンクはフリードリンクでプラス二〇〇円でデザートがつくなど、値打ち感をモットーにアイデアを駆使したメニューが人気を呼んでいる。

ランチタイム(午前11時30分~午後2時)の来店客数は客席約七〇席に対し一日平均九〇人来店。ディナータイムで一日平均一三〇人だから、ランチタイムはかなりの集客力がある。

ディナータイムの場合も客層は昼とほぼ同じだ。アルコールはワイン、カクテルの需要が高く、カクテルではフローズンと果物の果肉を使用したものがあったりと種類も豊富だ。客単価は三〇〇〇円とリーズナブル。平日は満席、金曜日はかなり込み合いウエーティングがでる。

集客の要因について大崎店長は「料理はもち論のこと店のカジュアルな雰囲気が受け入れられたのだと思います。最大の広告塔はお客さまで店を気に入ったお客さまが紹介しあってご来店されます。私たちの役割はお客さまにいい気分で満足して帰っていただくこと」と語る。

が、おしゃれを好むこの地域の客層に合致した「おしゃれで気持ちのいい空間」を演出できたことが集客力につながったと考えられる。他のサービスではスタンプカードを発行している。常連客にはうれしいサービスで固定客づくりにも役立つ。

大崎店長の方針は「接客のマニュアルはないが気持ちいい接客を基本に、一番にお客さまを大切に、次に自分以外のスタッフを大切に」と温かい。それがスタッフの気持ちのいい接客に反映されている。

流行を取り入れた店内だが、近年オープンテラスの店は街中にあふれ、似た業態の店も多い。そのことについては「業態は似ていても特色、方針は店ごとに違う。だからライバル視するよりは自分たちが流されることなくやっていきたい。いつも一二〇%を目指してます」。

トレンドに流されない冷静な視線が結果を出している。

◆ZETTONZnagoya(ゼットンズナゴヤ)=名古屋市中村区名駅三‐一七‐一九、Tel052・589・3900

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