宅配ピザ特集:現状分析=課題
急成長のあおりを受けて課題も数多くある。宅配ピザはオペレーションが容易なだけに、業界参入やチェーン脱退者が相次ぎ、業界の足並みや本部機能の不備について数多く指摘されている。まとめると次の通りである。
宅配ピザ業態の重要課題は交通事故防止。「三〇分以内に届ける」ため、急ぎの運転が多く交通事故を起こしやすい。ジャイロ(三輪バイク)は、ファッショナブルで広告効果に優れるが、二輪バイクに比べると高度な運転テクニックを要するため、安易な運転は即事故につながる。しかも配達スタッフは高校生と大学生が主力で、若さゆえの危険運転も多く、周囲のひんしゅくを買うこともしばしば。
こうした問題を解決するため、一九九四年、業界の雄、ドミノ・ピザを発起人に、ピザ等宅配業安全運転管理協議会なる任意団体を設立。警視庁、各県警の協力を得て全国規模で定期的に安全運転教習会を実施。主要チェーンを軸に全国約二〇〇〇店舗が参加し、業界あげて事故撲滅に努めている。
前述通り、宅配ピザはノウハウが容易なため、FC本部から脱退する加盟店が絶えない。本部の指導力や開発力の未熟さが要因だが、加盟希望者側にもブームに目がくらんだ責任がある。開業に投資する機材資材は、実勢価格が不透明な特殊資材機材が多い(コンベヤーオーブンやデリバリーボックスなど)。そのため、一部には、不的確な営業計画を作成し開店資金を吊り上げ利ザヤを稼ぐという図式が出来上がった。
ブーム時における店舗月商の目安はバイク一台当たり一〇〇万円、オーナー利益率は一五~二〇%。加盟店は大幅な利益を上げた。しかしブーム便乗のFC加盟で簡単に儲けた過ぎたきらいもあり、不況時の構造改革や打開策に対し発想力は乏しい。投機的に開業した店舗などは、オーナー不在のアルバイト任せのケースも多く、一度下降線を辿ると、なかなか盛り返せない。サービス業としての経営マインドが欠落しているがためにクローズに追い込まれるパターンは後を絶たない。
ノウハウ先行で儲けてきた大きな代償といえるだろう。それに比べ、生活をかけたオーナー在中のパパママ経営は、人件費切り詰めやサービス強化など辛抱強く対応し、とても根強い。