全国焼き肉繁盛店特集:広島「赤ちょうちん本店」
広島市南区の住宅街に昭和32年に創業した鉄板焼きの店。二代目の岩本徹志さんが継いで二五年になる。
この店の特徴は、甘辛い味噌を絡ませたホルモン焼き。週末は来客数の半分が、味噌がついた持ち帰りのホルモンを買いに来るほどの人気だ。センマイ、豚ロース、カルビなどをホルモンにミックスして焼いてもらうのが、スタンダードな注文の仕方。塩焼きもあるので、こってりした味噌味を食べた後に注文するとサッパリとしてうまい。肉と味噌のセット(ホルモン一〇人前四七五〇円)で全国に宅配も可能だ。
味噌は自家製で、無添加の麦味噌をベースに唐辛子をはじめ調味料で味付けしている。市販もされており、岡山の山陽マルナカと香川の四国マルナカに、単品(一四〇g・二九八円)と、ホルモンとセットになったものがあり、リピーターをつかんだ岡山では、8月に三万食を売った。
長く営業しているだけに、地元に密着した客層なのかと思いきや、近所から来る客は一〇%くらいで、あとは遠方の客だ。広島市内でタクシーに乗り、「堀越の赤ちょうちんまで」というと自動的に連れていってくれるのも納得だ。
客層は、子供のころ食べた「赤ちょうちん」の味が忘れられず、二〇~三〇代になって友達やカップル、家族で来店するというパターン。地域に関係ない客層の幅広さが繁盛のポイントという。
○店舗メモ
◆「赤ちょうちん本店(11月から「龍珠」と改名予定)」(広島県広島市南区堀越一‐七‐三〇、082・281・6616/営業時間=平日午前11時30分~午後1時30分、4時30分~9時30分、日祝午後4時30分~9時30分、定休月曜/店主=岩本徹志/坪数・席数=二七坪・二五席(二階に座敷二〇席)/客単価=二五〇〇円/一日の来客数=二〇~三〇人
○売れ筋メニューベスト3
〈一位〉ホルモン(とんちゃん・四五〇円)
〈二位〉豚ロース(五五〇円)
〈三位〉上カルビ(一〇〇〇円)
○私の愛用食材:2年物の国産牛ホルモン
客の七〇%が目当てにやって来て、品切れの場合は帰ってしまう人もいるほど人気のあるホルモン。国産牛の仔牛を産んでいない二年物の牛のホルモンを使用しているので、軟らかく色がよい。カルビも国産広島和牛を使っている。
「先代より良い肉を使っている」だけに、肉の質と鮮度には厳しい目を持っている。鮮度の悪いものはメニューからはずし、正直に客の注文にこたえる姿勢は「ここなら間違いはない」と客を安心させてくれる。