で・き・る現場監督:西安餃子オペラシティ店マネージャー・江森満さん

2000.12.04 217号 18面

西安の街並みをカジュアルにアレンジしたという店内は、地下とは思えないほどの開放感にあふれる。西安餃子がオペラシティに出店したのは二年前。高級中華料理として有名な「謝朋殿」を経営するグリーンハウスグループが、高級なイメージとは一線を画した、親しみやすい中華料理店を、とスタートさせた。

看板メニューは本場西安から招いた国家級点心師が作る、秘伝の「元祖ひとくち餃子」をはじめ、水餃子、スープ餃子など八種類の餃子。これに加えて一皿五〇〇円前後の中華料理がラインアップし、行列ができることも少なくない。

マネジャーの江森満さんは、オープンと同時にパートで入店し、一年少々の間に正社員、それも一足飛びでマネジャーに任命された。江森さんを抜てきした地区マネジャーの西山敬太さんは「当初からお客さまに対する姿勢が、パートのレベルを超えていました。加えて店の運営全体にまで頭が回る人だったので、もともと素質があったんでしょうね」と語る。

西山さんは、江森さんにまつわるエピソードのいくつかを披露してくれた。いわく、洋服にシミを作ってしまった客にさり気なく染み抜きを手渡す。子ども連れの客には温かいおしぼりを多めに出す。長時間席を外した客の料理をそっと温め直す。こうした心配りは、一朝一夕にできるものではないと言う。

それに対して江森さんは、店は自分の家、客はわが家に遊びに来てくれた親類や友人だと思って、女性ならではの繊細なサービスを心掛けているだけだという。

江森さんはスタッフに対しても、自分の子どもだと思って接しているという。

「元気のないスタッフがいたら、休み時間に休憩室に行った時を見計らって、急いで後を追いかけて行くんです。元気ないけど、何かあったのって。そしてできる限り相談に乗るようにしています」

二〇年間の専業主婦業で培った、江森さんならではの心温まる心遣いだ。マネジャーになって八ヵ月が過ぎたが、「まだまだ手探りの状態」という江森さん。

「数ある飲食店の中からここを選んでくださったお客さまに喜んでいだけるよう、スタッフにも心から楽しんで細やかなサービスができるようにアドバイスをしていきたいです」

スタッフ全員による「わが家のおもてなし」的サービスが見られる日は近い。

○こだわりの食材・ウェルネス野菜

西安餃子で使用する野菜のほとんどが、減農薬、減化学肥料で作られた野菜だ。写真はキャベツ、玉ネギ、ニンジン、江戸菜で、なかでも小松菜の一種である江戸菜は、これだけを専門に生産する農家から仕入れているという。

以前にも増して健康志向が高まりつつある昨今、少しでも来店した人の健康の手助けをしたい、ということからウェルネス野菜を使用するという。また、野菜に限らず、水道水をアルカリイオン水に変換したり、天然塩を使用したりと、あくまでもヘルシーな素材にこだわりを持ち続ける。

●企業メモ

◆(株)グリーンハウス/代表取締役=田沼千秋/本部所在地=東京都新宿区西新宿三‐二〇‐二、東京オペラシティタワー17F、03・3379・1244/店舗数=五七六店舗/年商四五六億円

◆「西安餃子」オペラシティ店/東京都新宿区西新宿三‐二〇‐二、東京オペラシティタワーB1F、03・5353・0505/店舗面積三八坪・七二席/従業員=正社員四人、パート・アルバイト二五人/客層二〇~五〇代、男性四割、女性六割/客単価=昼一〇〇〇円、夜二三〇〇円

●プロフィル

◆えもり・みつる=昭和29年愛媛県生まれ。二〇年間専業主婦をしていたが、この業界で自分の店を持ちたいと四年前に調理の勉強を始める。和食店勤務を経て、平成10年に西安餃子にパートとして入社、今年2月にはマネジャーに昇進という、驚異的な出世を遂げる。料理を作ることが大好きで進みはじめた道だったが、今ではホールの仕事が楽しくて仕方がないとか。休日はほとんど家事に忙殺されてしまうが、たまに美術館巡りをして心身のリフレッシュを図っている。

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