食品メーカー開発奮闘記(22)キスコフーズ
自然の味を生かす
「鮮度の良い原材料から技術的に高い商品を作り外食ユーザーのお手伝いをする」をモットーとしているのがキスコフーズ(株)。昭和55年にフォン、ブイヨン、ソース、スープ、調理済みのカレー、ミートソース、中華ブイヨンなどの製造メーカーとして発足、今では一流ホテル、レストランのシェフなどにその品質は高い評価を受け、大衆化と高級化の二極に分化している外食市場の発展に大きく貢献している。
商品開発の基本ポリシーは、まず第一に「素材は『生』が基本」。すなわち生にこだわる素材選びが原点になっている。良質の水と穏やかな気候、肥沃な土壌に恵まれた静岡県清水市に工場を設けたのもその一つ。
たとえばアメリケーヌ・ソースやフュメ・ド・ポワソンに必要なイキの良い伊勢エビや白身魚は、日本各地はもち論、世界の海から運んでいる。野菜の産地とのネットワーク、そして化学調味料や添加物は一切拒否、自然が生んだ純粋なおいしさを食材作りに生かしている。
第二は「じっくり素材を生かす正統派の技術」。人の手が野菜を切り、肉を焼き、ソテーし、煮こみ、こして、じっくりとシェフが作るフォンやソースなどとまったく同じ手法である。一例としてはフォン・ド・ヴォー。生の仔牛骨や仔牛肉、仔牛スジをベースに、ソテーした新鮮野菜を加えて三日間。昼夜を問わず丁寧にアクを取りながら、あくまで手作りを基本としている。
求められる高品質
生産アイテムは、外食市場の幅広い業種業態に対応していくために、冷凍品の「フュメ・ド・ポアソン」「コンソメ」「ベシャメルソース」、缶詰の「デミグラスソース」「トマトソース」「カレーソース」レトルトの「ミートソース」「デミグラスソース」「トマトフォンデュ」など、一二〇種類にも達している。
特に外食市場で急成長を遂げている冷凍品については、昨今は一流ホテル、レストランでも抵抗なく受入れられる環境となっているだけに、逆に最上級のクオリティーが要求されるとして、フォンやブイヨンはもちろん、ソースからスープまで最高の味のもてなしをするために特に選び抜かれた新鮮な素材と最高の技術の粋をつくした製法にこだわっている。
また、外食市場では差別化とオリジナリティーが重視され、商品開発でもこの傾向が高まっているが、これらでは外食ユーザーとの共同開発、PB商品の販売にも力を入れ、すでに全アイテムの三〇%を占めるといわれ、今後この比率はさらに高まりそうだ。
この3月からは新清水工場が本格稼働する。新工場では従来の冷凍食品、缶詰類、レトルト食品を製造するが、中でもレトルト設備の増強によって新規分野の惣菜類までも可能となる。加えて包装形態の面では全自動定量充填包装機を導入したことで、少容量品種から大容量品種まで幅広い容量の製造が可能になるとともに、生産量でも三倍のアップとなっており、製造面での一段の飛躍が期待される。
会社メモ
▽キスコフーズ(株)
▽本社=東京都豊島区東池袋二‐六‐一一、Tel03・3981・5005
▽代表者=久世健吉
▽主要業務用商品=フォン&ブイヨン、スープ、ソース、調理済食品、中華ブイヨン、ガーニシング・ペースト