“屋台村”さまざま 関西型=テナント独立採算 月商平均で300万円
屋台村の発祥地といわれる西日本を拠点に全国展開をしているのが(株)人情屋台グループ。その運営形態が関西型といわれる。
人情屋台グループの場合“屋台村”とは一線を画して“人情屋台”といい各店舗(テナント)が独立した飲食店の集合体。この形態は地域の業務用酒販店が管理会社となって店舗を借り、内装を施しテナントを募集する。出店前の市場調査、オープン企画、教育指導、仕入れも管理会社が一括して行う。
テナントは加盟金一五〇~二五〇万円。店舗リース料として月々一五~一八万円を管理会社に支払い、その他は全て独立採算で展開するシステム。つまり、業務用酒販店がビルオーナーとテナントを結ぶ中間媒体となって店舗をプロデュースする。この時勢、飲食店の出店にかかる投資額は少なくとも五〇〇〇万円は下らないが、このシステムだと約二〇分の一で済む。独立をあきらめかけた調理人の出店の夢をかなえる方式として希望者が相次いでいる。
人情屋台の基本方針は、年中無休で対面実演販売。テナント経営者自らの接客を義務付けている。「客がグチをこぼせる店作りをするためには常に同じ店員が接客して親しみを感じさせなければ」(東京本部、小口徹代表)。かなりの激務に見えるが、結果として驚異的な高収益を上げている。一般的な居酒屋チェーンの日商坪売上げは五〇〇〇~七〇〇〇円だが同店の場合、二万~四万も上げる。食材原価率は約四〇%と高めだが平均月商は一店舗三〇〇万円前後としている。
先立ってオープンした宇都宮店では八店舗募集のセミナーに四〇件の申し込み。なかにはホテルの料理長もいたとか。テナント選考の基本的条件として小口代表は「調理技術も大事だが接客態度が何よりも大切だ」という。
新タイプの居酒屋とはいえ、料理以外のサービスに重点を置いた“すき間”商売であることを強調する。そのためには“常に個人の商売人であれ”。これが同店の原則だ。店舗運営が軌道に乗るとアルバイトに任せがちになったり、二号店を出店しがちだが、同店では許されない。常にお客に接しているから成り立つ商売と考えているからだ。違反者はペナルティーとして除名する。
人情屋台グループは現在、北は岩手から南は沖縄まで全国に二本部約六〇店舗展開しているが、今年中に一〇〇店舗を達成し、近いうちに東京に総本部を移転する計画をたてている。
最後に「今の時代、一生懸命やっただけ結果の出せる商売はこれしかありませんよ」と小口代表は付け加えた。