食品メーカー開発奮闘記(23)ジェーシー・フーズ
FRメニューから
昭和39年、東京オリンピックが開かれた年に設立、米国カリフォルニアから日本へ初めて「冷凍ピザ」を輸入・販売したのが(株)ジェーシー・フーズ。同社では、まず市販用から参入したが、当時、日本の各家庭に冷凍庫、オーブントースターなどは普及しておらず、食習慣の違う日本での拡売にはかなりの苦労を強いられたようだ。
昭和44年には早くも九州は福岡市の郊外、古賀に拠点となる量産工場を建設、全国販売を始めるとともに、地元の大手飲食企業「ロイヤル」との取引が開始され、ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」のメニューに初めてピザが登場した。外食市場で「冷凍ピザ」が認知されるきっかけの一つともなった。
大河原愛子社長は、ピザの普及を図るため、「フライパンにアルミホイルをくしゃくしゃに敷き、その上にピザを乗せ、オーブン風にチーズを溶かす方法を、市販用のパッケージの裏面に記載した」。さらに外食市場には「将来的にも有望な人気メニューになる」と紹介、説得したと振り返る。
同社の「ピザクラスト」は、プレスラインと呼ばれる工程でつくられるのが大きな特徴。こね上げた生地を一定の大きさの団子状にして発酵させ、ほどよい生地になったら一回目のプレスをし、生地を平らにし、その後、再度生地を休ませ二回目のプレスをし、丸い形に仕上げるというもので、これによってコシが強く、職人による手づくりのクラストとほぼ同じ食感が楽しめるという。
調理に手間のかからない「ミックスピザ」は、一枚一枚ていねいにつくりあげたピザクラストに、完熟トマトからつくった風味豊かなピザソースと本場のチーズをのせ、その上に厳選された具材をトッピングした完成品。そのままですぐ店のメニューに加えることができる。
総合マーケッター
「チーズピザ」も好みのトッピングをすると、それぞれの飲食店で独自のアイデアを生かしたオリジナルピザができあがる。さらにピザの味つけを左右する「ピザソース」も香り、色、栄養価とも最良のカリフォルニアの完熟トマトを一〇〇%使用、香ばしい生のスパイスをブレンドし収穫後二四時間以内にパックされた最高級品にそれぞれ仕上げている。
売上げ構成比率は、トッピング三〇%、クラスト一五%、チーズ加工品二五%、ミックス&チーズピザ二五%、残りはその他といったところ。
同社は昨年、念願の株式店頭公開を果たし、各工場における生産設備の増強、営業所展開など、生販一体となった販売強化を図っている。
日本のピザ市場は、小売ベースで約一五〇〇億円(宅配六〇〇億円、業務用四〇〇億円など)といわれ、今後の成長が期待されている。そこで同社は、ピザを中心として、新たに米国サラ・リー社の冷凍ケーキを販売するなど、食品の総合マーケッターを目指している。
会社メモ
▽(株)ジェーシー ・フーズ
▽本社=東京都品川区西五反田二‐二九‐五、日幸五反田ビル、Tel03・3490・5011
▽代表者=大河原愛子
▽主要業務用商品=ピザクラスト、ピザソース、ミックス&チーズピザ、チーズ、トッピングなど