飲食トレンド 輸入米、交錯する“期待”と“不安”

1994.03.21 48号 1面

いよいよ輸入米が外食店のメニューに登場する。スーパーでは発売に合わせて試食セールを実施。意外に消費者の反応は良好だが、外食店はいまひとつ慎重なところが多い。輸入米の混入比率をどうするか、また、炊飯方法などについて大手チェーン店では研究を重ね“方式”を確立しているようだが、輸入米の手当てが先行き不透明なこと、さらに、米相場の動向をにらんでメニュー化にはまだ踏み切っていない。

輸入米使用に慎重なのは大手FF。〓野家ディー・アンド・シーでは昨年から輸入米について研究を重ねており、「輸入米と国産米との理想的なブレンド比率は確立したが、それを実現できるようにコメが手当てできるかどうかわからない」とし、いつから輸入米をどうブレンドしていくか明らかにしていない。グルメ枡屋は2月21日~2月28日の一週間、全店でカリフォルニア米一〇〇%の天丼をイベントとして販売した。「このイベントで西日本では通常より来店客数が七~八%増え、効果はあった」としながらも「今後、輸入米を使う計画はない」としている。

輸入米を積極的にメニューに採用しようとしているのはタイ料理店などエスニックを売り物にしている店だ。「従来は国産米を使っていたが、これからはタイ米をどんどん使っていきたい。当店ではコメ料理の売上げの八〇%がチャーハンで、タイ米を一〇〇%使用すると、コメの原価は五〇%下がる」(東京・港区、インドネシアラヤ)。「トルコでも長粒米を使っているので、輸入されるタイ米を試用して良ければ、バターライスなどに使っていきたい。楽しみにしている」(東京・渋谷区、アナトリア)と意欲的だ。

輸入米の取り組みは炊飯業店にも大きなテーマだ。外食店、弁当、惣菜店に炊飯したライスを販売している明治ライスデリカは「輸入米と国産米をそれぞれ別々に洗米、浸漬すればうまく炊ける。いま、カリフォルニア米とタイ米を使ったメニューを提案している。変化はビジネスチャンスだ」と積極的な取り組みをみせている。(関連記事2面)

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