拡がるエスニック いまウケている東南アジア料理、辛さ・スパイシーに人気
最近、街を歩いていてエスニックレストランが増えたという印象を強くする。とくに都心部の繁華街でよく見かける。「エスニック」(ethnic)というのは「民族」という意味だが、料理の世界では先進国の料理ではなく、むしろ発展途上国の料理という位置付けにあるようだ。
このカテゴリーでみれば、東南アジアをはじめ、中近東、アフリカ、南アメリカ、中南米、あるいはインドということになり、ヨーロッパほか中国、ロシア、北米、オーストラリアなどの国の料理は含まないということになる。
この範ちゅうはあくまでも日本からみてのことで、当事国においてはエスニック料理などとはいわないだろう。
それはともあれ、エスニック料理はサバンナ、熱帯地方のものが多い。最近、東京の都心部でみかけるのは東南アジア地域のエスニックレストランだ。インド料理店もよく見かけるが、すでにこのエスニックレストランはメジャーになりつつある。
東南アジアのエスニック料理では、とくにタイ料理が話題を呼んでおり、新規出店の店を街中でよく見かける。
タイ料理の話題は何んといっても“タイしゃぶ”だ。日本のしゃぶしゃぶ料理に似た料理で、野菜類や魚介、肉類をこだわりなく食材に使うということに特色があり、これはタイの伝統料理というよりも、日本のしゃぶしゃぶ料理などにヒントを得た“新タイ料理”ということのようだ。
ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、カンボジアといったエスニックレストランの出店もよく目にする。
これら店舗の出店形態は、本国と同様の料理、味づくりをめざしていることで、料理担当をその国の人に任せているケースが多い。
本稿では、東南アジアのエスニックレストランを取り上げる。これら地域の料理は植民地時代の影響を強く受けていることに加えて、隣国間の交流で多く似た面があるということで、香辛料を多用し、「炒める」「煮込む」「焼く」というのが共通のようだ。
料理は辛く、スパイシーということに特色があり、単品メニューで価格は一〇〇〇~二〇〇〇円前後、客層は若い女性、カップル、外国人および同国人が多いという傾向をみせている。