統計でみる関西喫茶店 今後も淘汰続くか、閉店目立つ大型と零細
【大阪】今年は、10月1日付で、一般飲食店の商業統計調査が予定されているが、関西地区の喫茶店についていえば、前回の平成元年10月1日の調査に比べ、さらに大きな後退を余儀なくされているのではないか、との見方が有力である。
大阪府下の喫茶店は、平成元年調査時は、商店数一万九八六三店(昭和61年調査比九・二%減)、従業者数六万二六二三人(同六・三%減)、年間販売額二一六四億五一〇〇万円(同五・四%減)で、全調査業種の中で最大の落ち込みを記録した。
この結果、全業種に占める構成比も、商店数三八・八%(二位‐一般食堂一五・一%)、従業者数二七・一%(同‐一般食堂一三・四%)、年間販売額一九・五%(同‐日本料理店一四・四%)と、依然トップの位置にあるものの、二位との差は縮まってきている。
喫茶店数の増減を従業者規模別でみると、一~二人‐一一・七%減、三~四人‐六・六%減、五~九人‐六・七%減、一〇~一九人‐六・三%増、二〇人以上‐二一・〇%減となり、唯一、一〇~一九人の店が増えた以外は軒並み減少し、特に零細店と大型店の閉店が目につくのが特色。
そこで気になる今年の調査だが、関係者の声を聞くと、店舗の減少は前回の調査と同様、零細店と大型店を中心に進行、落ち幅は前回以上になっているのではないか、とする見方が有力。
大阪府の前回調査時の喫茶店数一万九八六三店は、東京都の一万二六五四店に比べ約一・五倍で、本来がオーバーストア状況にあった。こうしたなか、90年に開かれた「大阪・花と緑の万国博覧会」を契機としたメニュー価格の値上げがボデーブローとなった格好で、昨春あたりから、来店客数が減少、店の淘汰が進行してきた、とされる。そして、今年に入ってからは、バブル景気崩壊後の不況感が一般消費者段階にまで浸透し、これに輪をかけている、というのがその論拠。
一方、競合店の減少に伴って、相対的にひと息ついた格好の店が増えているのも事実。こうした店のなかで、特に目につくのが関西の本流といわれる、香ばしさ、コクの強いコーヒーを基本メニューに据えた、コーヒー専門店タイプの店の健闘。
「比較的アメリカンタイプのコーヒーが多いオフィスコーヒーの普及で、逆に喫茶店の濃いめのコーヒーが見直されている」というのをその理由にあげる向きもあるが、「喫茶店の原点は、最大のヒットメニューであるコーヒーの味」と自覚する店が生き残った、というのが、関係者の共通の言い分。