お店招待席 「大志満」(池袋) 加賀料理を優雅に低価格で、女性でいつもいっぱい

1992.07.20 8号 22面

「大志満」といえば、ヤングミセスや山の手のオバサンたちに支持されている日本料理店として広く知られている。といっても東京だけの話であるが、それがついに池袋にオープンした。

大志満は銀座、新宿、横浜に出店しており、グルメ志向の女性をはじめ、オジサンたちの会食の場、企業の接待の場としても利用されている。つまり、プレステージの高い店なのである。

店の看板メニューは加賀料理であるが、天ぷら料理やしゃぶしゃぶ、煮物、焼物など一品料理も多く揃えており、そして、店の雰囲気に気品がある。内装は数寄屋造りでシンプル。余計なデコレートは何もない。

接待係の女性たちも若くて着物姿の立ち居振舞いが優雅。日本料理の神随といえば、色、形の美しさであるが、大志満は料理から店の造作まで、その精神を貫いている。

だから、大志満のイメージは山の手で、ハイソサエティの趣があり、決して下町のイメージではない。それが、「ダサイ」「キタナイ」「キケン」のワーストタウンの池袋に出店した。

おおげさにいえば、都落ち、格落ちのオドロキである。果たして大志満のイメージに合った客が来てくれるのか、出店にあたっては大志満の経営陣も大きく悩んだらしい。

だがマーケティングリサーチの結果、ゴーということになった。池袋が大きく変わるからである。大志満池袋店の出店は、東武百貨店が位置する西口であるが、この西口が変わる。周知のとおり、池袋西口地区は再開発によって、ホテルメトロポリタンに続いて東京芸術劇場が建ち、西口公園広場が完成した。

そして、この最後の仕上げとして6月10日、東武がJR東日本社との共同事業でメトロポリタンプラザを建設し、日本一の売場面積を持つ百貨店を完成させた。

《おすすめメニュ ーは加賀御膳》 この大プロジェクトによって、西口も東武も大きくイメージチェンジし、ダサイ池袋ではなくなった。新宿、渋谷並みに健康的で明るい街に大変身したのである。

大志満の経営陣にはその読みがあった。大志満の出店は、話題のメトロポリタンプラザのすぐ目の前であるが、その巨大な集客力によって、大志満にもグレードの高い客層が来店してくれている。新しい客はもちろんのこと、銀座や新宿の店を知る女性たちがやってきている。

客席は個室、宴会席、大部屋など一九二席。このほかに、別個にカウンター席の天ぷらコーナー一八席がある。個人、グループ、団体、カップルと多様な利用形態に対応できる。

料理は加賀御膳、加賀懐石、しゃぶしゃぶ、天ぷら御膳など。ディナーメニューばかりではないランチもある。値段はメーン料理は二八〇〇円から一万円まで。ランチメニューは二〇〇〇円前後から三〇〇〇円以内。

決して高くない。ちょっと気取ってみれば誰でも利用できる金額である。おすすめメニューはディナーであれば、加賀御膳「宝生」(四八〇〇円)。このメニューには他に「梅鉢」(二八〇〇円)、「友禅」(三九〇〇円)があるが、ちょっとハズめばリッチな宝生がよい。

料理の内容は、お通し、前菜、お造り、煮物、揚物、焼物、替鉢、味噌椀、御飯、香物など。ランチメニューならお通し、味噌椀、香物付きの「天丼」(一八〇〇円)、「海老天丼」(二三〇〇円)。天ぷら御膳であれば、「安宅」(二八〇〇円)、「白山」(四八〇〇円)など。お通し、天ぷら盛合わせ、生野菜、味噌椀、御飯、香物のセットメニューである。

店のイメージとしては高級感があるが、しかし、料理の値段としてはサラリーマンのポケットマネーでも利用できる。たまには女性連れでディナーをエンジョイしたいと思う男性諸士にも、品格のあるナイトスポットとして利用をおすすめしたい。

(しま・こうたつ)

住所 東京都豊島区池袋一‐一〇‐一〇

(東武スパイス・2、4階)

電話 03・5951・8080

営業時間 午前11時~午後11時(無休)

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