話題の飲食施設 アサヒビール館(東京・目黒) ファミリーに焼き肉バイキング
JR目黒駅から歩いて一、二分。半地下式のビル一階。6月11日にオープンしたばかりの新装店。低価格志向で人気のあったファミリーレストラン「ジョイタイム」が撤退したので、それに代わって出店した。焼き肉レストランのチェーン化を推進中の(株)ファミリー・バイキング(本社=東京・葛飾、水島義夫社長)七店目の店舗で、山手線沿線では初めての出店。
店舗面積六六坪、客席数一〇〇席。主力商品はもちろん焼き肉だが、店内は明るく、ファミリーレストランタイプのアットホームな雰囲気で、焼き肉レストランらしからぬ内装デザインを訴求している。
「セルフサービスの焼き肉バイキングですが、ウエートレスサービスをプラスしておりますので、おざなりではありません。店の運営コンセプトとしましては、ゆっくりとくつろいでいただく、楽しい食の空間の提供です。ですから、素材のよさやメニューのバリエーションにもこだわっております」(ファミリー・バイキング村田裕司開発部長)。
だが、まだオープン間もないが、いくつかの改善すべき点、課題もあるとしている。
「単に素材を並べているだけでは物販になってしまいますから、これではレストランビジネスとはいえません。店からの提案、メッセージとして、素材の生産地とか、組み合わせ方、カロリーの表示とか、素材そのものの付加価値もアピールしていく必要があると考えています」(前出村田部長)
バイキングコーナーはコの字型にレイアウトし内側にサラダバー、大皿料理を置く形になっている。
素材(メニューアイテム)は焼き肉から野菜、サラダ、フルーツ、すし、スパゲティ、シュウマイ、シチュー、カレー、ご飯、ケーキなどトータルで八〇~一〇〇品目前後を揃えている。
アルコールは、生ビール、ワイン、酎ハイなど。飲んでよし、食べてよしの運営形態にあるわけだ。
運営(料金)システムは別掲のとおりで、フルメニューバイキング(大人二二五〇円、子ども一三五〇円)に加えては、ランチバイキング(一〇〇〇~一二〇〇円)、ソフトドリンク&ケーキバイキング(八八〇円)なども導入している。
アルコールはバイキングに一二八〇円をプラスすれば飲み放題になり、計三五三〇円(外税)でアルコール付きの食事をエンジョイすることができる。
アルコールは一般的には大ジョッキで七〇〇~八〇〇円はする。二杯も飲めば客は十分に元が取れる。ということは店側においては、アルコールでは収益は期待できないということだ。
「ビールは小売価格が分かっていますから、高くは売れない。収益は知れています。基本的には店の宣伝という考え方です」(村田部長)
客のコアターゲットは、店周辺の会社、事業所の課長クラスが若い部下を連れてきて、“飲みニケーション”する場の提供ということだから、企業の中堅管理職が狙いということだ。
課長の交際費の範囲で、部下を慰労するというのなら消費単価三〇〇〇円前後は高くない。行動力のある若い部下は焼き肉は大好きだ。女性にはサラダバーやケーキ類、ソフトクリームがある。
若い部下同士だけでも月に一、二回利用してくれれば、店の運営は安定する。目黒にはバイキングスタイルの店は見当たらない。
店の周辺にはオーディオのパイオニア本社をはじめ、一部上場企業のホーチキ、セザール、また、住友、さくら、あさひ、富士、三和など大手銀行も点在する。
オフィスワーカーたちの飲食ニーズは十分に期待できるわけだ。
平日はサラリーマン、OL、土・日・祝日はカップルや学生グループ、ファミリー客が主体になる。月商二〇〇〇万円の売上げ目標で粗利六〇%前後
客数が増えれば現下の食材コスト四〇%は、三七・八%にダウンする(村田部長)。食材は本社での一括仕入だが、先行き野菜、果物類は有機栽培、低農薬のものを産地から直接仕入れることも考えている。
素材のグレードアップ、付加価値の向上ということだ。
◇メニュー・料金体系
〈フードメニュー〉
焼き肉、大皿料理、点心、すし、ご飯、シチュー・カレー、野菜・フルーツ・サラダ、ケーキ、ソフトクリームなど一〇〇品目前後
〈ドリンクメニュー〉
生ビール、ワイン、コーヒー、ウーロン茶、ジュース
〈料金〉
・フルメニューバイキング=大人二二五〇円、子ども一三五〇円、幼児(三歳以上)五〇〇円、高齢者(六五歳以上)一三五〇円
・ランチバイキング(60分)午前11時~正午(正午までの入店)一〇〇〇円、正午~午後3時(日・祭日除く)一二〇〇円、ソフトドリンク&ケーキバイキング八八〇円(プラス二〇〇円でサラダバー)
◇施設メモ
・店名/カジュアルバイキングHOUSE「アサヒビール館目黒店」
・経営主体/(株)ファミリー・バイキング(本社=東京・葛飾)
・店舗所在地/東京都品川区上大崎二-一三-二フジタビル1F(電話03・5420・2989)
・オープン/九七年6月1日
・店舗面積/六六坪
・客席数/一〇〇席
・客層/オールエージ
・客単価/三〇〇〇~四〇〇〇円
・月商/二〇〇〇万円以上(目標)
・営業時間/ランチバイキング午前11時~午後3時、ソフトドリンク&ケーキバイキング午後2時30分~6時、フルメニューバイキング午後5時~11時、無休