世界の人気食材 「カレー」日本では辛口ファンが急増

1997.03.03 122号 21面

カレーはインドの民族料理である。タイ、ミャンマー、スリランカ、マレーシアなど熱帯圏の国々では必需食品であり、また中国や日本でも広く食べられている。

カレーとはインド北部地方のタミール語から転じた言葉ともいわれ、汁またはスープを意味する。ヒンズー語の香り高いとか、おいしいの意味を持つタリカリーの言葉から出たともいわれるが、詳しくは不明である。

暑いインドでは発汗作用を促し、さわやかな感じを得るために強烈な辛みは不可欠で、カレーは長年月をかけて育てられた食品である。

カレーに使われる各種の香辛料は薬効の高い健康食品として尊重されている。子どもの発熱、食欲不振の時にはこれによく効くガラムマサラを処方し、対応する。

インドのカレーは二〇種以上の香辛料をブレンドする。これがおいしさを作り上げる秘密とされている。

カプシカム(唐辛子の一種)、ジンジャー、ブラックペパー、コリアンダー、カルダモン、シナモン、クローブ、ターメリック、サフラン、タイム、オレンジピール、マージョラム、クミン、フェンネル、ナツメグ、クミンシード、カンゾー、ガーリック、メース、ケシの実など。

このうちカプシカム、ブラックペパー、ジンジャーは主として辛み成分を、ターメリック、サフランは美しい黄色を、その他のものは風味をよくするために使われる。

カレー粉の製造工程は原料を精選し、よく製粉しふるい分けして調合する。良質の原料が良いカレーを作る最大のポイント。次いで焙煎工程に入り貯蔵、整粒、仕上げ工程を経て製品化。製造工程中で特に大切なことは熟成期間を長くとることである。

香辛料の目的は、香りをつける、辛みをつける、色づけをする、の三つの役目を持ち、カレーはすべてを持つ。そして酸化を防ぐ作用、抗菌作用、防腐効果も併せ持っている。

カレーは香辛料の配合を変え、インドやタイでは辛く、温帯向けは辛みを加減するなど配合は自由である。日本では甘口、中辛、辛口の三種類があり、甘口は子どもや女性向きに、辛口は大人向け。しかし最近では辛口を好むファンが急増している。

カレーは庶民の食べ物の中で人気が極めて高い。子どもから年輩の人まで年代の差がなく、男女ともにカレーを好む。この理由をみると(1)割安なこと(2)手軽なこと(3)うまいこと(4)飽きない味であること(5)カレーのバリエーションの多いことがあげられよう。

調理面でも、カレーバリエーションは広がり、具はビーフ、ポーク、チキン、マトン、エビを始め、カツ、野菜(ナス、里芋、豆腐)などさまざま。専門店も多く、早く、安く、うまいと多忙で気短な日本人の性格によく合っている。

また専門店の中には濃いスープでコクを出したり、ショウガで辛みを補ったり、果物や野菜をジュースにして小麦粉のルウの代わりに使ったり、超激辛の商品を作ったり、特徴ある店が多く見られる。

本場のインドでは、菜食主義者が多く野菜が主材料となる。肉はマトンとチキンのみ。そして特徴として、小麦粉でルウを作らずさらっと仕上げている。スプーンではなく指を器用に使って食べる。

既製のカレー粉を使用せず、毎回香辛料を自分で混ぜてオリジナルの味を作り、家庭の味としていた。最近ではスーパーが出現し、完成品のカレーパウダーも売り出されている。

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