特集・急増する女性バーテンダー 赤坂東急ホテル「ゴンドラ」アットホーム感覚で

1996.12.02 116号 13面

首都高速と遠くに新宿副都心の夜景が広がるバー「ゴンドラ」は、ゆったりとした静けさとアットホームな雰囲気に定評がある。カフェのような感覚でふらりと立ち寄り、ペーパーバック片手に一杯だけ飲み干して帰る女性客や、食事帰りに夜景を楽しみに来るカップルも多い。

まだまだ熟年男性客が半数を占めるものの、肩ひじの張らないカジュアルなこのバーのカウンターが、女性バーテンダー相原実佳さんの職場。彼女は、すらりとした長身に、きゅっとまとめた髪、黒目がちの瞳が印象的な二四歳。男性バーテンダーにまじって、てきぱきとシェーカーを振り、接客をこなしている。

もともとフロントを志望しホテル学校に行ったが、恩師に感化され、カクテルの世界に入ることを決意、本人の強い意志でこのフロアに立った。女性バーテンダーという職業に対し、違和感やとまどいはまるでなかったという。

先輩や町場のバーからさまざまなカクテルの技術を吸収して五年ほどたった今、相原さんを一番惹きつけるのは「接客」。コンテストに出て優勝という、バーテンダーが夢見るはずの晴れ舞台よりも「お客さんとの会話や気配りに徹していきたい」と、接客の魅力にとりつかれている。

女性客や若年層も増え、“相原さん効果”にホテル側も期待を寄せる。相原さん個人の希望と、女性客へのアプローチという時代の流れが一致し、これからが彼女の腕の見せ所だ。

「女性バーテンダーとしてではなく一人のバーテンダーとして、気張らず自然体で続けていくつもり。仕事というより私の夢ですから」と、自ら選んだ道に、自信と希望を持って進む意志の強さが印象的だった。

◆赤坂東急ホテル/バー「ゴンドラ」(東京都千代田区永田町二‐一四‐三、Tel03・3580・2311)

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