お店招待席 おむすび「権米衛」(東京・品川) テークアウトが7~8割
新橋から一二分。都心近接地の新しいレジャーゾーンお台場海浜公園。この7月12日に開業したFFスタイルのおにぎり専門店。複合商業施設「DECKS Tokyo Beach」の一階。
おにぎりの専門店は珍しい。しかも、この店はサンドイッチチェーン「サブウェイ」との併設店だ。
経営は(株)イワイ(本社=東京・品川)で、都内にサブウェイ四店舗をFC出店する有力フランチャイジーだ。
サンドイッチもおにぎりも、煮炊きなど料理をする必要がないのが大きな共通項で、どちらも「具」が主役というのが商品の特色。
「具をパンではさんで食べるのと、具をご飯で包んで食べるという違い。調理が簡単ですからパートやアルバイトでも運営していける。サブウェイの店舗システムとノウハウを応用しての事業化で、ファストフーズ形態でいけば、市場の可能性はあるとみているのです」とオーナーの岩井健次さん。
岩井さんは大阪生まれの大阪育ち。生粋の浪速っ子だ。今年三五歳の若さ。早稲田大学法学部を出て住友商事(燃料本部)に入社。商社マンとしてトライしたが、平成2年、二九歳の時にスポーツプロを目指して退職、約一年間プロボクサー(ウエルター級)として活躍した。
しかし「男子三〇にして立つ」で平成3年、三〇歳で会社を設立、事業家に進む決心をする。
現在は前記のサブウェイ四店舗のほか、LPGスタンド三店、さらには平成5年、商社時代の経験を生かすべく、中国上海市に合弁会社「上海岩井五金工業有限公司」を設立、ステンレス鋼材の輸出入、加工販売の事業にも取り組んでいる。
大学時代は、合気道(現在三段)の全日本チャンピオンになったこともあった。“体育会系”のやる気満々、アグレッシブ一本の青年実業家という図式になるが、おむすび権米衛は先行きFC化を意図してのスタートで、まだオープン間もないが、営業は順調に推移している。
おむすび商品はうめ、梅しそ、山菜、おかか、さけ各一二〇円、たらこ、高菜、銀だら各一五〇円など一五、六品目。ほかには、店で調理加工したソーセージ、唐揚げ、筑前煮を盛り合わせた「おかず」(三〇〇円)もある。
これは、当初期待していなかった商品だが、日がたつに連れて、おにぎりとのセットでよく出るようになった。客単価を向上させている貢献度の高い商品だ。ご飯はササニシキ(七割)、コシヒカリ(三割)のブレンドで、店内での炊飯だ。
商品は四八時間のストックが可能だが、基本的には三時間内のホールディングを限度にしている。常に安全でフレッシュな商品を提供するという精神だ。
最大の問題は塩加減。おにぎりは型枠で簡単に作れるが、塩加減を一定化、安定化させるのはむずかしい。これをどうクリアするか。
もちろん炊飯のむずかしさもあるが、これはハードの面で解決できる。塩加減は昆布だしの「米つゆ」とメーカー提供の「調味液」で解決することにした。
水は水道水だが、備長炭の「炭素エキス」の使用で、水質を向上させる工夫をしている。完全とはいわないまでも、調理の効率化、システム化を実現しているのだ。商品の売れ行きはお台場という場所柄、平日は平均して四〇〇~五〇〇個だが、土・日は一日当たり一五〇〇個前後と三、四倍のボリュームをみせる。
客層はサラリーマン、OL、カップル、ファミリー客と雑多で、平均的にみればテークアウトが七、八割にもなる(村田浩彦店長)。
客単価四〇〇~五〇〇円。日商は平日で二〇万円以上、土・日で六〇万円以上という計算になる。粗利七〇~六五%。店舗面積五~一五坪。FC化に当たっての目安だが、ここ一、二年内にビジネス街に二号店目を出す計画だ。
サンドイッチチェーンサブウェイ4店舗のオーナーでもある岩井健次さん(35)。実行力のある青年実業家だ
おむすび「権米衛」
〈経営〉(株)イワイ=東京都品川区北品川五‐六‐二一‐九〇六、Tel03・3449・4471
〈代表取締役〉岩井健次
〈店長〉村田浩彦
〈所在地〉東京都港区台場一‐六‐一、デックス東京ビーチ一階、Tel03・5500・5016
〈店舗面積〉四五坪(おにぎり専有一五坪、併設サブウェイ三〇坪)
〈客席数〉四八席(共有)
〈人気商品〉うめ、まぜこんぶ、さけ、そぼろ各一二〇円、高菜、たらこ各一五〇円(貢献度五割以上)
〈客層〉地域来街者
〈客単価〉五〇〇円
〈平均日商〉平日二〇万円、土・日六〇万円(テークアウト七、八割)
〈原材料〉三〇~三五%
〈従業員数〉ピーク時三、四人(正社員一人)、アイドルタイム二人
〈営業時間〉午前10時~午後10時、無休