地ビールニュース 御殿場高原ビール社長・庄司清和氏 近く静岡に2号店

1996.09.15 110号 4面

御殿場高原ビールの発足から運営まで、積極的に関わってきたのが現米久(株)社長で、御殿場高原ビール社長でもある庄司清和氏だ。庄司社長は、食肉メーカーの社長として海外に積極的に出かけ、もちろんソーセージの本場ドイツにも何回も足を運んだわけだが、そのたびに思ったのが「本格的なビアレストランを手掛けたい」ということだった。

我々はハムやソーセージを作ってきましたが、これは言うなればビールのつまみを作っているということでもあるのです。ビールのつまみを作っているのであれば、その主役であるビールそのものを作ってもいいじゃないかと前々から考えていましたね。今回ビール醸造の規制が緩和されて、我々でもビールを醸造することが出来るようになり、ようやく念願が叶ったというわけです。

地ビール参入にあたってはドイツのビアホールをそっくりにまねたという。

ドイツに非常に気に入ったビアレストランがありました。そこが地ビール造りの考えの原点だったわけで、地ビールレストランを作るとき、そこを日本で再現しようと思いました。したがって建物も醸造施設も、すべてドイツ流をまねました。醸造機械もそこが導入しているドイツのB・T・E社の機械を導入し、醸造についてもドイツのビア・マスターにお願いして研修を重ねました。

事業を行うとき、成功するかしないか悩むこともあるはずだが、そういった悩みは全然持たなかったという。それには地ビールに対する明確な考え方があってのことであった。

日本のアルコール需要の七割以上をビールが占め、日本酒は約一三%にしか過ぎませんが一方、日本酒メーカーは一八〇〇社もあるのに比べて、ビールメーカーは四社しかない。これはどう考えても不自然で、地ビールが四〇〇社、五〇〇社あっても決して不思議ではない。確かに、考えなどが曖昧で今後うまく行かなくなる地ビールも出てくるでしょう。しかし、まじめにしっかりやってさえいれば必ず生き残ります。なんといっても地ビールは手造り感覚が出せる。またビールは鮮度が命ですから、環境的には大手より有利とも言えます。また、御殿場には富士山の伏流水という良い水がある。今までビール工場がなかったというのが不思議なくらいです。

御殿場高原ビールは地域おこしの意味も込めて、地元企業から出資を募り、各社平等に出資することによって出来た複合企業体。従って、地元からの応援も多く、実際、地元客によって支えられている面も強い。

お客さまの後押しがあったからこそここまで来ましたが、正直ここまでやれるとは思いませんでした。ここは幸い伊豆、箱根、富士五湖などの観光地に近く「地の利」がある。従って土曜・日曜は首都圏や静岡以西からの観光客がメーンになりますが、平日はほぼ静岡県内の客が主力となっています。確かに、お客さまの入りは8月が一番多く、12月は感覚的に二割減といったところで、観光も重要な要素ではありますが、県内のお客さまが平日に入ってもらえないと、ここまで年間を通して繁盛はしません。

ビール生産量はこの間、設備の増設を繰り返して年間で六〇〇キロリットルを超すまでになったが、すでにもう限界が近づいてきた。したがって、来年には本格的な増築を考えており、それが完成すれば地ビールとしては最大手の生産量を誇るビアレストランになる。庄司社長は「地ビール生産で日本一」になるのが夢だという。

生産量が既に限界に近づいているので、来年には隣接するところに醸造施設を増築して、トータルで一八〇〇キロリットルまで生産できるようにしようと考えています。また、10月中旬には静岡市内に五〇〇席を持った二号店がオープンしますし三号店、四号店も出店したい。今はどんどんと夢が膨らんでいるのが現状です。

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