世界の人気食材 「パセリ」ビタミンCは野菜で最高

1997.10.06 137号 21面

パセリは代表的な緑色野菜の一つ。これに含まれているミネラルやビタミンの割合は極めて高く、ビタミン剤にも匹敵する。料理のツマとして彩りに添えられているが、認識を改めて、必ず食べることをおすすめする。

パセリの原産地は南欧、地中海沿岸地方である。ギリシャやローマでは紀元前から愛用され、栽培の歴史の古いものの一つである。日本には一八世紀に長崎に渡来し、オランダセリとも呼ばれていた。

貝原益軒の大和本草(一七〇九年)にも記されているが、食用にされるようになったのは最近のことである。

セリ科に属する二年生の越年草で、品種として平葉種、ちりめん種、根用種の三種がみられる。一般にはちりめん種の縮みの細かい鮮緑色のものが好まれている。

パセリの栽培は都市近郊に限られ、多くは春まき。この特徴は高さ三〇~六〇㎝の茎から多くの分枝がみられる。全株無毛で、葉は濃緑色、しかもくさび型で深く切れ込み、著しくまいて縮みがある。

全草にキニーネの代用になるアピオールを含み、特有の香気をもっている。特に肉料理を食べた時など口中の油をとり、またネギ類の臭気を消す効果は大きい。単なる添え物でないことが理解されよう。

このほか、爽快さと香気のため、シチューやスープなどの香味づけのほか、サラダをはじめ多くの洋風料理の彩りとされたり、刺し身やすしのツマとしても使われている。

みじん切りにしてポタージュに散らし香味や色づけに、また野菜ジュースにも利用される。油で揚げてもおいしく、やや低温で長くあげるとよい。みじん切りの場合、香りを生かす目的の時は水ざらしをしないが、パラリとさせるには水ざらしが必要となる。

パセリはブーケ・ガルニには欠かせない。香草スパイスの束のことで、セロリの小枝、タイム、ローリエなどと一緒にパセリの茎が利用される。じっくりと煮込む鍋料理などに使われ、香りが移ったら引き上げること。

葉を使った後でもパセリの茎は利用されるので、水につけて保存すること。またみじんにして乾燥したパセリは香辛料として利用面が多く、アメリカから輸入されている。

パセリの品選びは、葉の色が濃く、カールが強く、つやのあるものがよい。張りのある新鮮なものを選ぶこと。

みじん切りにして使うと食べやすいが、よく洗い、よく水気を切ってからみじん切りに。みじんのパセリをふきんに包み、流水中でもみ洗いし、青い汁を流しながら、最後に固く絞ると、水ざらしパセリとなるが、スープの浮き実やマヨネーズなどにまぜるとよい。

現在の主産地は千葉を筆頭に長野、静岡、埼玉など。作柄は天候や気温などで大きく変動し、価格面でも上下に動く。

成分をみると栄養の宝庫で、タンパク質も良質、しかも食物繊維も多い。ビタミンではA、B1、B2、Cが突出しており、Cは野菜類の中では最高。またカルシウム、鉄分にも恵まれ、健康、美容、抗病の理想食ともいえよう。

パセリは極めて効用の高い野菜でありながら、ツマとか添え物として食べ残される場合が多い。栄養的には、トマトは残してもパセリを食べなくてはならない。

パセリの出回りは一年中であり、ビタミン剤にまさる食品であり、なるべく量を多く食べ、食べる機会を多くしてより健康を保ちたい。

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