中部版:シリーズ・今年の中部外食(10)喫茶店編「レピシエ」

1998.03.16 148号 15面

名古屋駅の名鉄百貨店内に「レピシエ」がオープンした時、ずいぶん話題を呼んだ。紅茶を好む女性の増加に対し専門店が少ないこともあったのだろう。百貨店の開店と同時に、すぐ満席となる盛況ぶりだ。

そのレピシエを担当したのが西村和也さん。彼自身、昔から紅茶に深く心酔していたこともあり、ソムリエばりのサービスや紅茶の品質を追求した結果、思っていた以上の数字をあげることとなった。

同店を運営するのは千代田クリエイト(株)。紅茶販売も手がけ全国展開しているレピシエチェーンに参入したわけだが、1月末にレピシエ二店舗目を今度は郊外に出店。西村さんは担当責任者に着任した。

場所は千種区の東、平和公園の近く。まわりはのどかな郊外だ。車でゆくと、三〇〇坪ほどの緑茂る敷地にそびえる総青ガラス張りのしゃれた温室のような建物が二つ、目に入る。そのうちの一つがレピシエ。隣り合わせたもう一つは「輸入雑貨の店」だ。連動性を持たせたつくりになっている。

西村さんは「紅茶には春摘み夏摘みがあるように、季節感のある飲み物」と言い、そのため戸外の空気の流れや日の光を感じられるスペースが適していることから、「この郊外立地は最適」とのこと。

客が求める喫茶店とは「心地よい空間」だと、レピシエでは考える。「私たちはお客さんのために、自由にふるまえるステージを用意するだけ」と言う。しかしまた、「紅茶だけでも十分楽しめる集客力を持つ」とも言い切る。

紅茶は、歴史上の裏舞台にいつも何らかの形で登場していたし、文化の香りも味わえる。

「商品の持つ魅力としては大きい」ようだ。

厳しい外食環境の中、専門性を持つことは差別化につながる。紅茶はむずかしいため必要な人材を育てるには時間がかかるが、ブームに惑わされなければ生き残ってゆける。

「ティーバッグで何杯とれるか、なんて発想は今の時代はお客さんにそっぽ向かれる」。外食では効率化ばかり声高に叫ばれるが、ティールームの場合は専門家がきちんと素材を吟味し、きちんと入れる必要がある。

レピシエでは、従業員にソムリエのような紅茶スペシャリストを求め、客に合ったおいしい紅茶をすすめるための研修も常に欠かさない。

二〇〇種の紅茶を用意するレピシエの平均客単価はデザートを含めて二〇〇〇円。少し高めの設定だ。客層は九〇%が女性で、年齢は二〇代後半から幅広い。少し居ずまいを正さないと入れない雰囲気にし、実際に高校生はほとんど来ない。

客席数四二席。一階はティールームと軽食、二階は予約席のレストランとなっている。4月には新緑の季節を迎えテラスも完成、さらに集客力を高める計画。

初年度の年商は二億円を見込んでいる。

☆「レピシエ」光が丘店/所在地=名古屋市千種区光ケ丘二-一五-二五、電話052・723・2135/営業時間=午前11時30分~午後9時30分/P四〇台/西村和也千代田クリエイト(株)営業課長

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら