飲食店の血液型対応学(6)AB型

1999.06.07 179号 21面

「小さいことにくよくよするな」という本が売れている。何故この本が売れているのかという解説を、有名なニュースキャスターがTVで行っていた。「バブル崩壊で傷ついた日本人の心に、大きな変化の兆しが訪れようとしている…」と。

ヘエー、本当かな…。血液型から考えれば、こんなのは簡単。日本人に一番多い血液型はA型。小さいこと、細かいことを気に病むタイプはA型。だから、この「小さい…」が売れるのである。

TVでインタビューしていたこの本の愛読者は、この「小さい…」本の重要部分に細かく赤線を引いていた。こんなことをするのは、典型的なA型。だから、バブルだろうが何だろうが、A型の多いこの国にぴったりの本である。

もしわが国にO型が一番多ければ、こんな本は絶対に売れない。むしろ「でっかいこと考えて、思いっきりジャンプ」なんていう本の方が売れるはずである。

さて、今回はAB型を取り上げた。AB型は、クールな理性派である。しかしここで見誤ってはならないことがある。実はAB型は、「二重人格」とまで言われるほど複雑で、内向的な面を同時に持っている。AB型は、外側からは極めて判断しにくい特性を持った血液型なのである。

知り合いのスナックのママが、このAB型である。見かけは、非常にきっぷの良いお姉さんという感じである。話し方も応対も、大胆で気前が良いのでまるでO型かB型のように見えるが、実はAB型である。

しかし話してみると分かるのだが、よく人を観察し行動分析をして上手に使っているのである。だからこの埼玉県新座市周辺では珍しく、四〇坪という大きなお店で何人も女の子を使っていつも大繁盛しているお店である。

しかしそのくせ、お客に対する気遣いは大変なものだ。大勢いるお客の、個人別の愛用しているたばこのブランドまで細かく覚えているのである。筆者も三ヵ月に一度しかその店に行かないが、それでも筆者の名前や好みまでも覚えているから不思議だ。

頭が良くて要領が良い。だから大勢の女の子も使えるし、お客にも好かれる。そのくせ気配りができるのだ。従業員の悩みを聞いてやるから、定着率も良い。だがこのAB型は、一人になった時が大変である。

AB型の底知れない悩みが始まる。「あんなことをしなければ良かった…」「あんなことを言わなければ良かった…」と悩みは尽きず、自分のふがいなさを嘆き、しばし自己嫌悪に陥る。ところが翌日には、けろっとして元気でお店に顔を出すのである。

かといって、自分の弱さを外に出し、だれ彼なく相談したりは絶対にしない。べたべたとする人間関係を、一番嫌うのがこのAB型である。

相矛盾したことを平気でやり抜く、この二重人格的な性格は典型的なAB型なのである。

店長がAB型なら、こう対応すべき。何しろAB型は頭脳明晰だが、他方、猜疑(さいぎ)心が強い。だから、「山田君、今度6月の販売促進として“父の日プレゼント”をやろうと思うんだけどどう思う?」と聞かれた時、調子良く「さすがは店長ですね! 良いところに着目されていますね…」とあっさり受け答えしては駄目。

あっさり答えると、「こいつは調子良い奴だ! 表面的な応対しかできない奴だ!」と思われ「信用できない!」となるに違いないのである。

つまり、安易な答えは命取りなのだ。

そこでAB型に気に入られるには、逆説のようだが一旦は反論することである。それも、理路整然とロジカル(論理的)に反論することである。そして最後は、このお店のために命張りますよと情熱的に表現するとAB型には大満足で受け入れられる。

「店長お言葉を返すようですが、現在の核家族社会においては、“父権”はその地位を失っています。だからといってそれでいいとは思いませんが、そのお父さんをただメーンとした“父の日”ではなく、家族というかけがえのない仲間としてのお父さんに感謝しようよ、というそんな日を“父の日”としてプレゼントを考えたらいかがでしょう? もし決定していただけるなら、この企画は私たちが全面的にバックアップし、きっと成功させて見せます」とこのくらい理屈っぽく受け答えたりすると、AB型店長は「ウ~ム、日ごろから見上げた奴だと思っていたが、ここまでとは思わなかった…」となる。

何しろAB型は、普通の人には扱いにくいタイプだ。しかし、表面では分からない心の奥に“寂しがり屋さん”が住み着いている。ここらを辛抱強くくすぐると、このAB型ママは攻略しやすいかもネ。と最後は、血液型ママさん攻略法になってしまった。

(血液型対応学研究所・エービー海老尾)

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