新トレンド創出、韓国ブーム「アジアンスパイスで食べる野菜料理」
韓国家庭料理が新しいブームの兆しを見せている。韓国ではキム・デジュン氏が大統領になって、日韓の友好ムードが高まった。日本人の観光客の誘致に大統領自らが積極的に呼びかけを行っている。
そうして韓国に行った日本人が、昔のように焼き肉や冷麺一辺倒ではなく、韓国家庭料理の味を覚えて帰ってきた。その人たちに、日本で韓国家庭料理を食べさせる店が増えてきている。外食向けの調理教室でも、こうしたブームを反映して、韓国料理の出席率が一番高い。
専門店に限らず、普通の居酒屋でも韓国メニューを取り入れて人気を得ているところが増えてきている。東京で注目されているのは青山の「雑草屋」。野菜をふんだんに使った女性感覚の韓国料理で、客層も八割方が女性になっている。客単価は五〇〇〇~六〇〇〇円と多少高めだが、連日行列ができるほどの繁盛店だ。
岡山で圧倒的人気を博しているのが、「朴伝」(ぼくでん)。こちらは男性客が居酒屋感覚で利用している。客単価も三〇〇〇~五〇〇〇円と手ごろだ。料理は専門の韓国料理を日本人向けにアレンジしたものだが、やはり野菜を使ったメニューが多い。
共通していえることは、野菜をスパイスを使って調理したヘルシーメニューが受けていること。これまで韓国料理というと焼き肉など重いイメージがあったが、アジア特有のスパイスで食べさせる韓国流の野菜料理が、特に女性たちに新しいトレンドとして受け入れられているようだ。
韓国料理は、単に観光ブームの副産物というだけではなく、日本人のし好に合っている。いま飲食店の競争が激化する中、差別化をどこに求めるか、内容は次第に特化してきている。これまで欧米に向いていた食トレンドが東洋に向きはじめた。韓国に限らない、中国も含めて東洋回帰がはじまっている。
(榊芳生)