キンシ正宗が地ビール、京の味2タイプ発売
猛暑の日本列島各地から地ビール誕生の声が連続するが、日本酒の主産地“伏見”が存在する京都でも、このたび四番目となる地ビールが誕生した。
8日から発売を開始したのは、キンシ正宗(株)(京都市伏見区、075・611・5201)で、同社の創業(天明元年・一七八一年)の地に存続する堀野記念館(旧堀野家本宅・京都市中京区堺町二条上ル亀屋町一七二)の酒蔵一部を活用し、「京都 町家麦酒醸造所」を設立。
同館庭園内に湧き出る醸造用好適水“桃の井”を使用、独特の芳香とコクにこだわり上面発酵を採用して、すっきりとした味わいの“かるおす”と飲みごたえのある濃厚な味が魅力の“まったり”の二タイプのビールを作り上げた。
堀野記念館は、幕末から明治の旧姿をとどめる由緒ある京の造り酒屋として、また豊かで洗練された木造建築の空間を持つ京の町家として、京の生活文化の厚みを現代人に語りかける文化遺産でもある。これまでも「お酒と食と文化のアミュージアム」として公開、さまざまなイベントも催してきた。
ここに地ビールを加え、その魅力を倍加したもので、地ビールコーナー(約二〇席)を設けグラスビール(六〇〇円)を提供する。おばんざいから懐石料理まで、京の食を引き立てる上品な味わいに仕上げたビールの相手には、京のうまいもん(京かまぼこ、あられ、豆菓子、京野菜つけもの)と京の味一色。
初年度販売目標六〇万キロリットルのビールは、三三〇ミリリットルびん(五〇〇円)、一リットルびん(二〇〇〇円)、一〇リットル樽(一万円予定)に詰められ「御所麦酒」「町家麦酒」(かるおすタイプ)、「花街麦酒」(まったりタイプ)の粋なネーミングを冠されて近隣料飲店ならびに清酒キンシ正宗の得意先料飲店を中心に拡売していく。
あくまで「京の造り酒屋と町家文化」からの情報発信の一環とするキンシ正宗(株)堀野欣哉社長は「京野菜の直売コーナーを設けたり、京都ならではの旬の味覚を見つけてもらうスポットとして愛されており、京都ならではの地ビールを作りました。少しでも地域の活性化につながり、周辺関係者の方々にも喜んでいただけるよう頑張りたいと思っています。若い人にもこの思いが伝わり“京”に対する理解が深まることを期待しています」と語っている。