ポッカ、新技術の脱酸素製法缶コーヒー「ポッカMr.」発売

嗜好飲料 1996.04.19 8029号 3面

(株)ポッカコーポレーション(名古屋市東区、052・932・1473)は今年、「挑戦と改革・新生ポッカ」実現に向け、3月下旬から世界初の新技術「脱酸素製法」の缶コーヒー「ポッカMr.」(ミスター)を全国で新発売した。これまでにない、いれたての味、香りのする缶コーヒーとなっているのが特徴で、初年度販売目標は一〇〇〇万ケース。3月下旬の新発売以降、順調に配荷が進み、3月は同社の飲料製品総売上げを一〇%強上向きに転じさせるほどの貢献ぶり。特に缶コーヒーでは三割近く伸びている。

4月6日から世界のスーパースター、「カール・ルイス」を起用したテレビCFなど広告宣伝を大規模に実施、「缶コーヒーの新時代を築く商品となるよう、積極的に意欲的に売りまくる」(内藤由治常務取締役営業本部長)と強気の姿勢で、同社の缶コーヒーの売上げにプラスオンさせていく計画。

脱酸素製法は製造工程で酸素を窒素に置換し、このために酸化・劣化が防げ、いれたての風味を生かし製造後の変化も少ないことが特徴。

コーヒー注出機や、調合に使うタンクの中の酸素、またコーヒー抽出に使う水や牛乳に溶け込んでいる酸素に至るまで除去しており、空缶をラインに乗せた際から、充填時まで一〇〇%に近い酸素を遮断している。

この製造法の開発に一〇年間、一〇億円以上を投資。製造は、群馬工場の従来のラインに新設。今秋頃完成をメドに名古屋工場でも増設を進めている。

脱酸素製法を開発した経緯は、七二年缶コーヒー、ポッカコーヒーを業界初めて発売した同社が、おいしさ追求を行っていくうえで、八五年に遠赤外焙煎技術を確立し豆の製法が完成したものの、「依然いれたての味わいで商品化できなかった」(木野卓哉課長)ため、「製造工程の見直し」(同氏)に取組み、完成した。

食品にとって酸化は、風味を損なうばかりでなく、色合いなどにも影響を及ぼすため、酸化防止として、製造後の製品化前に酸化防止剤や脱酸素剤などを加えるなどの取組みはなされてきた。が、同社のように製造過程から酸素を除去したのは、世界的にも初めて。

同社は、今回の缶コーヒーでの製法を契機に、他の飲料製品、食品などにも脱酸素製法を活用していく計画。なお、脱酸素製法のラインアップとして、リニューアル販売で「BLACKコーヒー無糖」と「BMコーヒー」を2月6日から新発売している。

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