メイプルフーズ、米・デルタプライド社と共同で新たに刺身用キャットフィッシュ発売
米国のデルタプライド社(本社‐ミシシッピ州インディアノラ)は2月18日、「デルタプライド・キャットフィッシュ」クッキング・デモンストレーションを六本木のパブ・レストラン「ラミーズ六本木」行った。同社は昨年から日本でのプロモーションキャンペーンを開始しているが、これまでの主力商品、高級白身魚キャットフィッシュ(ナマズ)の“ミシシッピ・ホワイト”〈冷凍フィレ〉に加え、3月から日本市場向けに新たに、刺し身用キャットフィッシュ“トロ白身”を発売する。トロ白身はデルタプライド社と輸入代理店㈲メイプルフーズ(東京都中央区、03・5565・7001)が共同で研究開発を進めて商品化したもので、メイプルフーズは輸入総代理店となって拡販を展開する。
デルタプライド社は一九七九年、長年キャットフィッシュの養殖に携わってきた一一九の業者が参加して設立された協同組合の要素を持つ会社で、現在一五〇業者が参加する。
養殖池の総面積は六五〇〇〇エーカーで、全米キャットフィッシュ養殖面積の三八・五%にあたり、生産量は七万tで全米生産量の三八・二%を占める。養殖池に地下から汲み上げた飲めるほどきれいな井戸水を満たし、選りすぐった品質のミシシッピホワイトを生産している。与える餌は、大豆、コーン、小麦などの穀類を水面に浮かぶペレット状にして浮餌にして与えているので、底の土と混じることなく、淡水魚にありがちな泥臭さを避けることができる。管理面では、アメリカ政府の品質検査基準よりさらに厳しい自主検査規定を設けており、土質、水質はもちろん、水のよごれや微生物の発生に至るまで、常に厳格にチェックするシステムができあがっている。稚魚から一八~二四ヵ月で一㎏ほどに成長したミシシッピ・ホワイトは、養殖池から引き揚げられ、特別な輸送トラックで生きたまま加工工場に運ばれる。各工場にはベテランのテイスターが常駐しており、運ばれてきたミシシッピ・ホワイトの風味・香りなどを慎重に調べる。ここで合格した魚は直ちに電気ショックで仮死状態にし、鮮度を保ったまま加工場に送られる。加工時間は三〇分前後。アメリカ市場にはホール、ステーキ、フィレ、シャンクフィレ、ナゲット、ストリップ、ミンストなどから調理味付け品まで、多種多様な形で出荷されているが、日本には個別に冷凍したフィレを中心に輸出している。
メイプルフーズの戸恒徹司社長のあいさつのあと、プロモーションを担当する㈱拡エージェンシーの長島昭代表取締役は「キャットフィッシュの生産はミシシッピ州の次に新大統領になったクリントン氏の出身州アーカンソー州が多い。今回農務長官になったエプシー氏もキャットフィッシュ生産地の出身だ。クリントン政権の中枢はキャットフィッシュに関係のある人で占められている。東京サミットでクリントン大統領が来日したときにはキャットフィッシュディナーを食べてもらう企画を考えている。ホワイトハウスにもキャットフィッシュディナーをやって欲しいと広報に連絡をとっている。ミシシッピやアーカンソーは貧しい州なのでキャットフィッシュ産業は雇用促進の意味が強く、クリントン大統領も力を入れると思う」と語り、クリントン効果を大いに期待した。
また、アメリカで水産物を扱っているバスコ社社長ジム・ショーグ氏は「キャットフィッシュは味つけで生かされる。シェフの持ち味を生かせる素材ではないかと思っている。フランス料理風は今日初めて食べた。魚には独自の味はなく、キャットフィッシュは大変ニュートラルな味だと強調したい」と語った。
会場では同レストラン吉田料理長の腕によるトロ白身の刺し身、にぎりずし、フランス料理風にアレンジしたメニューに舌づつみをうった。
戸恒社長の話 刺し身用キャットフィッシュの発売を当初、昨年九月を予定していたが、今回やっとデルタプライド社との共同開発にあたりネックとなっていた生産・商品衛生管理面でメドが立ったことで、輸入本格発売に踏み切ることになった。ネーミングには苦心したが、実際、生の状態で食べた際にトロッとした感じだったので“トロ白身”と決めた。特にターゲットにしているのは寿司種、刺し身供給メーカー。現在、値頃感から使われているいずみ鯛(ティラピア)需要が生換算で五〇〇〇tほどあるといわれている。トロ白身の刺し身との食味比較でも十分太刀打ちできるし、価格面でもいずみ鯛一㎏当たり二五〇〇円に対してトロ白身は一八〇〇~二〇〇〇円と安いので、年間五〇〇〇tを努力目標にしている。荷姿は八㎏、IQF(バラ凍結、真空パック)/スキンレスフィーレ/一枚当たりの重量約二〇〇~二五〇㌘である。生食向けということで、特に鮮度、衛生状態には注意した。養殖池から揚げたばかりの魚を隣接する加工場ですぐにフィレー加工したうえ、オゾンと紫外線を使った水で洗浄、制菌してある。実績のあるデルタプライド社なので、供給体制もしっかりしている。キャットフィッシュ一㎏の成魚は八㎏の穀物を必要とする。今、米の自由化が問題となっているが、八㎏の米を一㎏のキャットフィッシュにかえて輸出すれば双方まるく収まると提案している。また、申し込みがあればサンプル提供を行っているので利用して欲しい。ミシシッピ・ホワイト(冷凍フィレ)とトロ白身は品代は無償、クール宅急便で着払いで送る。昨年11月にデルタプライド社でキャットフィッシュの刺し身の作り方を撮ってきたビデオもあり、希望の方には譲る。