百歳さんこんにちは:埼玉県・栗田フジさん(98歳)

2014.12.01 233号 06面
穏やかな笑顔が魅力的

穏やかな笑顔が魅力的

 埼玉県和光市で暮らす栗田フジさん(98歳)は、地域の福祉会館で毎週金曜日に開かれている「ロコトレ体操」をこの5年間、一度も欠かしたことがない。「自分でできる限りは人の手を借りないように」がモットー。毎日の買い物も自分でこなし、一人暮らしを満喫している。

 ●5年間、皆勤賞の「ロコトレ体操」

 「ロコトレ体操」は、栗田さんが通う地元の福祉会館が考案した体操。ロコモティブ症候群(運動器の障害によって要介護状態のリスクが高い状態になること)を防ぐため、ストレッチや軽い筋トレを組み合わせたもの。椅子に座ったまま、誰でも気軽に取り組めるのが特徴だ。

 5年前、フジさんなど8人で始まった講座は、いまや毎回50人程度が参加する人気講座に。フジさんは開講以来、皆勤賞だ。「身体を動かせるのはいいですね」と微笑む。

 福祉会館では毎日多彩な講座が開かれていることから、フジさんはほぼ毎日通っている。「折り紙をしたり、テレビを観て過ごすことも。友達にも会えるからね」。毎日外に出て、周囲の人との交流を楽しむのが健康の秘訣のようだ。

 ●4階の自宅まで階段を昇り降り

 フジさんは深谷市の農家に大正5(1916)年、7人兄弟のちょうど真ん中に生まれた。最初のご主人を戦争で亡くして、再婚したのが34歳の時。1人息子をもうけた。「私は子どもの頃、胃腸も弱かったし、1人でも産めてよかったですよ」。戦時中も東京・京橋まで勤めに出ていたため、「爆弾を落とされて防空壕に逃げ込んだことも。本当に大変でした」と語る。

 長く連れ添ったご主人については「優しい人でしたね」と振り返る。ご主人を亡くして以来25年、一人暮らしを続けている。

 一人きりの生活は寂しいのでは、と思いきや「いまが一番、気楽で幸せ」ときっぱり。多くを語らないが、お姑さんとの関係には苦労したようだ。「子どもの頃は祖父母の面倒をみて、結婚後は夫の両親の世話をしましたからね」。息子さん家族が近所に暮らすが、同居しないのはお嫁さんを気づかってのことかもしれない。

 自宅は団地の4階。食事は3食とも自分で作り、買い物にも出かける。買い物袋を提げて4階まで、杖もつかずに昇るというのだから驚きだ。「1日に2~3回は昇り降りしています。運動だと思って苦にしないようにしているの」。毎朝、起床時に足の体操と乾布摩擦も欠かさない。

 70代の頃に大病を患ったが、それからはいたって健康だ。「長生きの秘訣なんてないんですよ。自分でも不思議です」と笑う。

 ●家族と囲む食事も楽しみ

 ある日のフジさんの食卓。朝食は大根おろしと梅干しの和え物、みそ汁。さらに牛乳を1杯。昼食はパン一切れにバナナ1本。軽食もちょっとつまむ。夕食は野菜と肉の煮物、にんにくの粒3錠。好き嫌いなく何でも食べるが、「野菜を取るように心がけています」とのこと。

 息子さんたちと食事を共にすることもあり、それも楽しみの一つ。いまの夢は、ひ孫との対面だという。「4人の孫のうち、一番上は35歳になるのに、まだ結婚しないの(笑)。早くひ孫の顔が見たいです」。

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