ヘルシートーク:女優・上戸彩さん

2013.10.01 219号 05面

 明るく元気なイメージに加えて上品な大人の魅力をまとう上戸彩さん。かつて社会現象になった NHK朝の連続テレビ小説『おしん』(1983年)が映画化され、母・ふじ役に挑戦した上戸さんに、撮影中のお話などを語っていただきました。

 ●命を懸けて魂で勝負体当たりで挑んだおしんの母役

 今年9月に28歳になりました。「おしん」の時代だったら普通に子どもがいる年齢ですから、母親役がおかしいことはありません。でも、みなさんが思い描いてくださっている「上戸彩」のイメージと、おしんの母・ふじの姿は、かけ離れていると思いました。お話をいただいた時は「できない」「早すぎる」と感じてしまって。本当はあと10年、時間がほしかったのですが、テレビドラマで泉ピン子さんが命を懸けて演じられたこの役を、私にくださったということが本当にありがたかったですし、私も「命を懸けて魂で勝負するしかない」と思いました。

 この役を受けると決めた時から、入水シーンは覚悟をしていて、撮影直前にはピン子さんから「大丈夫だから、本当に命を懸けて入っておいで!」と気合を入れていただきました。冬の川の水は“冷たい”ではなく“痛い”ほどでしたが、スタッフのみんながとても気づかってくれて、乗り切ることができました。

 撮影中は、おしん役のここねちゃんを本当の娘のように愛おしく思うことで、台本には書かれていない感情や涙があふれてくる思いを大切にしました。両親に力が無いばかりに、小さな子を奉公に行かせることになって申し訳ない、つらい気持ち……。

 終盤の、ごはんを作るふじをおしんが見つめるシーンでは、女神のようにきらきらとしている母の姿に見えるよう、所作にも気を配りました。

 撮影が終わったいまも、観客のみなさんにどう感じていただけるか、受け入れてもらえるのかという不安は大きいです。「でき上がりを観るのが怖い」と久しぶりに思ったほど、大切な作品です。

 ●「支える側」の楽しさを知ったロケ こんにゃくそばが大好物になりました

 おしん役のここねちゃんは、とても我慢強い子。テスト撮影も本番も何十回と繰り返したのですが、監督はダメな時でも「どこが悪い」とは教えてくれません。それは、彼女の一番良い表情を引き出すためなのですが、ここねちゃんは弱音を一切吐かずに、「大丈夫です」と、いつも元気でニコニコしていたんです。

 私たちは見守るしかなかったし、監督とここねちゃんが作り上げる作品を精一杯サポートしようと思っていました。これまでは自分がカメラの中心に立って、周りに支えていただくことが多かったのですが、この作品では支える側だからこその楽しさやつらさを経験させてもらいました。私は母性が強い方だと思うので、支えていると思うとどんどんやる気が出てくるんです。サポート役も好きなんですよ。

 撮影で「食べる」シーンは大根めしくらいしかありませんでしたが、ロケ中はケータリングがおいしかったです。にんじんやたまねぎの入ったかきあげそばやうどん、ラーメン、炒飯など。温かいメニューがうれしかったですね。

 山形名物では玉こんにゃくもおいしかったし、方言指導の先生にいただいたこんにゃくそばは、もちもちでヘルシー。自宅にお取り寄せするほど好きになりました。

 ●ロケ中はグリーンスムージーが大活躍 自宅では豚汁で野菜をたっぷり

 撮影期間中はミキサーを持ち込んで、スーパーで野菜を買って、毎日グリーンスムージーを飲んでいました。山芋やアボカド、かぼちゃなど、飲みづらそうな野菜ほどクセになるんです。現場にも持って行って、天然の雪で冷やして飲んでいました。

 以前、映画の撮影で京都に滞在していた時には、撮影所近くのお豆腐屋さんで汲み上げ湯葉を買って、たっぷりの薬味とともにいただいていました。今でも小腹がすいた時は、納豆など大豆製品を食べることが多いですね。良質なたんぱく質ですし、ヘルシーですよね。 豚汁をよく作ります。野菜もお肉もたっぷり取れるし、麹も身体に良いですから。きのこ類は一度、冷凍庫に保存して栄養価を上げてから汁物に入れています。いも類も大好きで、山芋も常にストックしています。だし汁にすりおろしたとろろと万能ねぎをドバッと入れて食べるのですが、これは昔、風邪を引いた時に親がいつも作ってくれていました。

    *

 ヘアメイク:中谷圭子(Allure) スタイリング:平澤雅佐恵 ドレス115,500(ポールカ/ナイツブリッジ・インターナショナル03・5798・7265)

 ●プロフィール

 うえと・あや 1985年東京都生まれ。1997年に第7回全日本国民的美少女コンテスト審査員特別賞受賞。映画、テレビドラマ、CMなどで活躍するほか、歌手としても活動。映画『おしん』(2013)ではおしんの母・ふじ役を熱演し、『武士の献立』(2013)『テルマエ・ロマエ2』(2014)など出演作が続く。話題のTBSドラマ『半沢直樹』では妻の半沢花を演じた。

 ●『おしん』(東映) 2013年10月12日(土)より全国ロードショー

 〈Story〉

 明治40年、不作のため困窮を極める谷村家では、7歳のおしん(濱田ここね)が奉公に出されることに。母・ふじ(上戸彩)はおしんを手元に残すため、お腹の子どもを堕ろそうと極寒の最上川へ入る。その姿を見たおしんは奉公に出る覚悟を決めるが、奉公先では女中頭からのきついしごきを受けて……。生きる力、信念、親子愛にあふれた涙の感動作。

 〈Staff&Cast〉

 原作:橋田壽賀子 監督:冨樫森 脚本:山田耕大 出演:濱田ここね 上戸彩 稲垣吾郎 泉ピン子ほか

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