だから素敵! あの人のヘルシートーク:歌手・松原のぶえさん
ふくよかな身体にほがらかな笑顔のイメージの松原のぶえさんが、ダイエット!? 女の人生を歌うにはそれなりの体力もいるだろうし、体形をそれほど気にかけているようには見えなかったけれど…。「いえいえ、前の私の身体はこのままいくと生活習慣病の予備軍だったんです!」。“3カ月で8キロ減”の良結果には、アンチエイジング(若返り)の効果がついてきたのだそうだ。
‐どうして急にダイエットを思い立ったのですか。
世間をお騒がせした一年半前の私の記者会見、まだご記憶にある方も多いでしょうね(笑)。税金滞納の金銭トラブルに端を発して、当時事務所社長だった夫と離婚することになって…。歌以外は全く世間知らずの私は、渦中で目を白黒させるばかり。結論として「夫婦でなくなっても、歌手・松原のぶえを応援する気持ちは変わらないよ」と別々の道を歩くことになったんですが、これはやはり人生最大のショックでした。
ストレスは極限、一時は「歌をやめて熊本に帰ろうかな」とも思ったくらい。何をするのもイヤになって、家から一歩も出ない。それでもお腹はすくもので、知らず知らずのうちに食べていたら…。お酒も飲めないので、現実逃避で過食に走ってしまったんですね。人目にもさらされずそんな暮らしをしていたら、いままでの洋服が全く入らなくなった自分がいました(笑)。
考えたら、まだ完全にやめると事務所と相談したわけでもないし。ありがたいことに「そろそろお仕事をしませんか」とお話が来て。ファンの方の励ましのメールやたくさんのお手紙にも、目が覚める思いがしました。「このままではいけないな!」と。離婚のショックでやつれて哀愁が漂うっていうのならいいけど、丸々太ってじゃあね…(笑)。
‐そこで用いた方法は、アンチエイジングにつながる方法だったとか…。
心が元気になってダイエットに挑戦! を決意したんだけど…。二〇~三〇代の頃は私、三日で五キロも落とすことができました。でもさすがにいま、それをやっちゃいけないんじゃないかと思って。「何か方法はないか」と知人に尋ね、浅野生活習慣病予防研究所の浅野次義所長に巡り会うことができました。
まず検査をしたんですが、これがビックリ、背中がゾォーとする結果!体重・体脂肪・総コレステロール・中性脂肪・血糖値…高過ぎてチェックが入っているところがいっぱい。「これでは将来、脳梗塞や糖尿病で倒れる可能性が高いよ」って言われて。「“生まれ変わった松原のぶえ”の歌を聴いていただきたい」と決めたのに、それではお先真っ暗です。幸い、浅野先生は「ダイエットさえできたら、病気のリスクはぐっと低くなる」とおしゃって下さって。また、私は昔から腎炎の持病があってむくみがひどく、それで長年利尿剤を手放せませんでした。けれど副作用が段々ひどくなるのは不安で。このダイエットをきちんとすれば、むくみも軽くなり、利尿剤も減らせるというのです。
アンチエイジングダイエットは、「健康」と「若さ」と「キレイ」を三つの宝として大切にするんですって。具体的な方法は、すごくカンタン。(1)身体をよく動かし(2)食生活に気をつけて(3)毎日一~二個のキウイを食べる‐‐が三つのお約束です。
‐キウイがポイントなんですね。どういう風に食べるのですか。
タイミングはいつでもいいんです。朝でも昼でも晩でも。私は主に皮をむいてハーフカットにしてそのまま食べていましたが、飽きがこないようにお料理用のレシピも考案していただきました。
ダイエットで食事量が減ると、栄養バランスが乱れたり便秘になったりしやすく肌も荒れてしまいます。私はもとから利尿剤の影響で便秘がちなので深刻です。でもビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なキウイをとれば大丈夫とのこと。
生活習慣病予防にもとても良くて、浅野先生の実験ではキウイを食べた人の尿から8‐エピプロスタンジンという物質が減っていたんですって。この物質は体内の細胞が死ぬ時にできる成分。つまりキウイによって細胞の老化が抑えられるということになります。そのほか血糖値を正常に、免疫力を活性化する効果もあるそうです。私は果物が大好きなので、先生のアドバイスにニコニコです。
それにしても正直言うと疑問だったのは、「一カ月に一~二キロ落としましょう」というペースでした。もう、やる気になってましたからね、「そんな生チョロいことでいいのかしら」と。でもそんな急激なダイエットで減っているのは筋肉。肝腎の体脂肪が燃える前に筋肉に蓄えられているエネルギーが利用される仕組みがあるんですって。こんな形で体重の増減を繰り返すうちに、人間の身体ってラクな方を先に覚える、つまり痩せることを忘れて太ることを記憶した細胞が身体に残ってしまうらしくて。だから大人には特に、スローダイエットが一番理想的。そんな身体のメカニズムを初めて知りました。
‐結果として数値が驚異的に変わったんですって?
体重は八キロ減。こういうダイエットの体験記だともっとそこは劇的ですよね。でも何より血液検査の内容が変わったことの方が意味があります。全部赤いラインを引かれるくらいのバッド人間の私が、三カ月でごくごく健康的な値になりました。(※書籍『キウイスローダイエット』表紙参照)。
特に注目していただきたいのが「レプチン」の項目です。これは「脳に満腹になりましたよ」と信号を送るものですが、43・7もあった私はいくら食べてもお腹がいっぱいにならなかった。それが16・4、いまは少し食べると「お腹いっぱいになった!」と信号が届くようなったんです。この数値は「内臓脂肪が減った数値」と考えていいんですって。見た目よりも中身が本当に変わったそうです。
あとはお肌、「ちゃんとしたダイエットをすると一皮むけてお肌がキレイになるよ」という言葉を信じてやってきたんですが、色素が濃くて浅黒い私が色白になったんです。ダイエット後は、お肌のある部分は二〇代の数値という結果も出ました。
元来私は明るい人間で、あまりメソメソしないタイプでしたが、今回の一連のことはメソメソくらいでは片づかないことで。いかにストレスが溜まっていたか、その時は自分でも分かりませんでした。でも考え方を少し変えるだけで、随分とラクに生きていけるんだなと、ダイエットをすることで確認できました。中身が変われば、後はもっと簡単に落とせるんですって。ゆっくりとこれからは見た目も分かりやすく変えていきます! もうひと花、咲かせるためにね(笑)。
◆プロフィル
まつばら・のぶえ 1961年、大分県生まれ。高校2年の時、歌の上手さからスカウトされ上京、79年、「おんなの船出」でデビュー。歌以外にも日本テレビ『おもいッきりテレビ』などのコメンテーターとしても活躍中。今年は歌手デビュー25周年で新曲『雪割草』、記念アルバム『蒼い月』を発売した。
◆キウイのチーズカナッペ
〈材料(1人分)〉
キウイ…………1/2個
クラッカー………4枚
【A】
カッテージチーズ
………………20グラム
レーズン………10グラム
ハチミツ…小さじ1
〈作り方〉
(1)Aをよく混ぜ合わせる。
(2)クラッカーに(1)をのせ、スライスしたキウイをのせる。