羊子先生の薬食同源:乗り物酔い まずは胃腸を丈夫に
旅行や帰省の季節になりました。けれど乗り物酔いをしがちな人にとっては、ウキウキと楽しいはずの計画もやや不安を伴うこともあります。
頭痛・吐き気・めまい・冷汗、気分の落ち込み‐‐などに急に襲われる乗り物酔いは、耳の中の平衡感覚を司る三半規管が乱れることによって起こります。
一番困ってしまう症状に嘔吐があるように、普段から胃腸の弱い人がなりやすいともいえます。揺れはまず、不快な信号として三半規管から脳神経に送られ、それが反射的に自律神経を刺激し、その自律神経が内臓を支配する迷走神経に伝わって吐き気となります。普段胃腸が強い人ならやや不快感を感じる程度で、休憩や気分転換などで、嘔吐やめまいなどの激しい症状が出なくて済む場合が多いようです。
もう一つなりやすいタイプとして「気血虚」の人。体力がない人は車の揺れなどで「気の昇降」が失調してしまうのですね。
胃腸を強くすること、体力をつけること‐‐は常日頃から時間をかけて治さなければなりませんが、日程が迫った旅行に備えて直前にできることもあります。乗り物酔い対策として、事前に自律神経を調節すればある程度の予防は期待できます。自律神経の興奮と安定をうまく調節し、ちょうどいい緊張感を持たせます。そのような効果を持つ薬やお茶を、旅に出る前日の夜と当日の朝、用いるのもいいでしょう。
すでに症状が出て、それが取れず翌日まで響くような時は、健脾和胃理気止嘔作用のあるものを。その際は漢方薬の専門店で相談して下さい。
(指導/中医師・張立也さん)
◆レシピ 山〓生姜飲
サンザシ10グラム、新鮮な生姜10グラムを水から20分煎じてお茶の代わりに飲む。飲む前にハチミツを3~5CC加えるとおいしくなる
※サンザシは消化を助け、生姜は嘔吐を治める。食欲がない時には、消化しやすい軽食を。
(取材協力=アイニンファンファン(東京・麹町)電話03・5210・3587)
◆乗り物酔いのための心がけ
・前日の夜、十分な睡眠をとる
・音楽やおしゃべりでリラックス
・車内換気や座席チェンジに気をつける
・当日、満腹にしない
・自律神経の興奮と安定にバランスをとれる健康茶
○シベリア人参茶
アダプトゲン(環境適応源)として、視床下部に直接働きかけて自律神経系を調節、安神(精神安定)作用がある。
○星火温胆湯(せいかうんたんとう)
黄連・半夏・陳皮・生姜などを配合し、健脾和胃理気止嘔作用があり、胃腸の諸症状から精神の不安も改善させる。不眠症にも効果がある。
◆羊子(ようこ)先生のプロフィル
出身は、ヒツジが食べると痩せてしまうという不思議なお茶「柳茶」のふるさと中国・チベット。北京で中医学(中国漢方)を勉強したのち渡米、ホリスティック栄養学を学ぶ。ダイエット指導のスペシャリスト。