おはしで防ぐ現代病:脳の老化を防止 抗酸化力No.1果実ブルーベリー

2003.09.10 98号 14面

ブルーベリーに脳の老化を防ぐ効果があることが米国の専門家の研究で明らかになった。記憶力の低下が見られる老齢ラットにブルーベリー入りのエサを与えると、脳の働きが活性化する効果が認められたという。ブルーベリー研究の第一人者、カナダ・ノバスコシア州大西洋食品園芸研究センターのウィルヘルミナ・カルト博士に聞いた。

眼への健康効果で知られるブルーベリーですが、いまブルーベリー研究で最もエキサイティングなテーマはニューロサイエンス・神経科学の分野です。昨今、脳の老化の進行を後戻りさせるブルーベリーの作用が次々に明かされています。

実験では月齢一九カ月のラットに、三種類のエサを八週間与えました。エサはそれぞれブルーベリー・ホウレンソウ・イチゴを添加したものを用意。実験前後で運動能力や記憶力といった脳の機能測定をしました。結果、ブルーベリー添加のエサを与えられたグループは他のグループよりずば抜けて良い成績をあげました。老化で衰えた脳神経細胞の情報伝達機能・認知機能・運動能力に回復がみられ、さらに実験後ラットの脳を開いて脳の状態も調べたところ、新しい脳神経細胞の生成も認められました。

またブルーベリーには、脳虚血発作による脳細胞の損傷抑制効果も認められています。脳で虚血発作が起こり一過性記憶や空間認識を司る海馬という部分の神経細胞が壊死すると痴呆症につながると考えられています。ブルーベリーにはこうした細胞壊死を予防する働きがあるのです。

ブルーベリーはアントシアニンなど抗酸化成分を多く含むことから、発がん抑制や悪玉コレステロールの酸化抑制、抗炎症などの効果が明らかにされています。抗酸化成分は一般の野菜・果実にも含まれますが、ブルーベリーとそれらとの違いは、複数の抗酸化成分を多量に含んでいる点。それらが相互的に働いて高い健康効果をもたらすと考えられます。

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