ヘルシー企業の顔:ポッカコーポレーション・内藤由治代表取締役社長

2002.07.10 83号 12面

缶コーヒーのパイオニアとして知られる(株)ポッカコーポレーション。これまでホット・コールド自販機の開発をはじめ、レモンの栄養研究や環境配慮の新容器製品開発など、業界に先駆けた取り組みが注目されてきた。さらに今年4月、『新起業』宣言をし大胆な社内改造を進行中。「お客様のココロを揺さぶる商品を提供していきたい」と語る内藤由治代表取締役社長は、大のテニス好きということで日焼けした肌に白い歯がまぶしい。「自分の健康管理も企業の運営も、旧弊一新がキーワード。勇気を持って変化を恐れず挑戦する」という気概にあふれている。

週末は都合がつく限りテニスをします。年齢・性別を問わず、いろいろな人と試合で出会うのも楽しいんですよ。忙しいとテニスの時間を作るのは大変。でも、やらないと頭も身体もリズムが狂ってくるんです。

今年の5月の連休に珍しく風邪で寝込み二キロほど痩せまして、これ幸い、このまま太らず筋肉にしようと、毎晩筋肉トレーニングをしています。腹筋運動と腕立て伏せだけでも継続して行うと確実に身体は変わってきますね。

食べ物は魚・豆腐が好き。野菜もたっぷりとるようにしていますが、平日の夜はどうしても仕事関係の会食などで外食が多いので、夜食べる量は少なくしています。以前は遅い時間でも気にせず食べていたので、ウイークデーは身体が重く、その分週末にハードなテニス練習でそぎ落として収支を合わせていたんです。が、年とともにそうもいかなくなってきて…(笑)。少しずつ体重が増え、定位置だったベルトの穴がものすごく苦しくなったんで、夜食べる量を減らすことにしたんです。ヨーロッパの人も、朝・昼しっかり食べ、夜はハムとチーズにワインだけと少なめですよね。夕飯を軽くすると胃も休まるし本当に快調です。

テニスの時は、当社の『キレートレモン』(注=レモン果汁飲料)を欠かさず飲みます。学生の頃からテニス部の練習や夏合宿というと、レモンの輪切りに砂糖をバアッとふりかけて食べるのが好きで…。ああいう時は不思議とレモンを酸っぱく感じず、どんどん食べられるんですよね。

レモンは「キレート作用」はじめ、身体への様々な効果が明らかになっています。血液もサラサラになるし、クエン酸が入っているので疲労回復にも最適。クエン酸は血中の乳酸値が高まって起こる筋肉痛を防いでくれるんです。

さらに、レモンはココロにも効きます。ゲームの途中で「よーし、後半戦はがんばるぞ」という時、これを飲むとピリッと気分転換できます。

また当社の海洋深層水『深層水&鉱泉水アクアミネラル』も気に入っています。これは富山湾のマグネシウムを豊富に含む海洋深層水を塩分処理したものに、カルシウムを豊富に含む鉱泉水をブレンドした機能性ミネラルウオーターです。通常の海洋深層水では、くんできた水をそのまま希釈したものもありますが、そうすると塩化ナトリウムが多く含まれ過ぎる。その点、『深層水&鉱泉水アクアミネラル』はミネラルを調節して作っていますからその心配がないし、味にクセもありません。価格は通常の海洋深層水に比べそれほど高くなく、最近価値の分かる人が増え人気が高まっています。

他にもコーヒーやプルーンジュースなど当社で扱っている食品は、「健康にいい」といわれるものばかり。今後はさらに素材重視、安全重視で健康に特化した食品を扱う通販事業を強化していく方針です。

これからの時代は環境への配慮も大切です。「紙でできたカートカンの導入」や「コーヒーかすの堆肥利用」など、当社では業界に先駆けエコロジー活動に取り組んできました。個人的には、本来ならミニペットボトルだってやるべきではないと思うんです。

とにかく便利でおいしいものを追い求めていたひと昔前と違って、多少まずくても気持ちの良いものを選びたいという風潮でしょ。こうしたお客様のココロに即対応したい。技術やおいしさの向上など作る側の自己満足を押しつけるのでなく、お客様が本当に欲しいもの、買って嬉しいものを作る「お客様第一主義」を追求します。

当社では今年4月1日から『ポッカ新起業』というスローガンのもと、大規模な企業改革に着手しています。具体的には、「飲料・食品・生産・外食・アジア」の五事業部制を導入し、独立採算で利益管理を明確にし、設備過剰・人員過剰・債務過剰の三つの削減を図っています。社員の自主性を重んじ若手中心に行動規範を作成させたり、個々と話し合いの場を持つことで、少しずつ変化の手応えを感じています。私の言葉が皆の日々の行動に表れるには多少時間がかかるだろうと思います。社員一人ひとりが自分の力をフルに発揮できる環境づくりに力を注いでいこうと思っています。

二一世紀はグローバルとスピードが求められる時代。とくに飲料業界は寡占化が進み、ここ数年ほどで三~四社の戦いになるとも考えられます。その中で当社はどう戦うか。

飲料事業は一兆円ビジネスです。その中の一〇%や二〇%のシェア争いに参戦して無駄な血を流すようなマネはしたくない。たとえ一%でも一〇〇億円です。その市場を確実に抑えていく。それには、メーンのコーヒー飲料やレモン系飲料で、他社がマネできない良い商品を作り出していくこと。さらに自分たちの商品に愛着と自信を持つことも大切です。まず自分で自分を愛さなければ、人におすすめなどできない、まして売ることなんてできないですよ。

企業の運営も、自分の健康管理も同じ。生活習慣病改善にはまず、自分のココロにメスを入れ、ウミを出す。変わっていくことを恐れず自己改革していくことだと思います。新生ポッカに、ご期待ください。

◆プロフィル

昭和21年10月、愛知県生まれ。45年名古屋大学法学部卒、同年4月ソニー(株)入社、60年同社総合企画室マーケティング企画グループ統括課長。61年6月(株)ポッカコーポレーションに経営企画部長として入社、平成4年取締役就任、以後常務取締役、専務取締役を経て、10年6月代表取締役社長就任、現在に至る。趣味はテニス。

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