自由時間術:韓国伝統茶を楽しむ

2001.07.10 71号 5面

暑い日は、冷たいお茶がイチバン! かといって、冷房の下、身体の芯まで冷やしたくない。そんなあなたにこの夏ぜひオススメしたい、ヘルシーなお茶を韓国で発見した。

国民総健康志向の国・韓国では、お茶の種類がとても豊富。日本と同じような緑茶(お茶の葉に湯を注ぎ入れるもの)のほか、生薬の材料である当帰や甘草・クコ・高麗人参などを長く煮込んで味を出す韓方茶(双和茶)や、ユズやカリンなど煮汁に果物の実を浮かべたデザート感覚の花菜(ファチェ)という飲み物もある。

これら薬効の高い伝統韓国茶を楽しむ茶店がいまソウルで人気。アンティーク・ストリートとして有名な仁寺洞(インサドン)地区にある韓国伝統茶店「シンイェッチャジップ」を訪ねた。画廊や陶磁器・韓紙・仮面・螺鈿細工などの店が並ぶ表通りから一歩入ったところにあり、伝統韓屋の古いたたずまいを模した店である。

木の門をくぐると、小鳥のさえずる中庭があり、店内には李朝時代の家具など韓国風インテリアがさりげなく配されている。靴を脱いで座敷に座り、のんびりくつろぎながらお茶とお菓子をいただく。オーナーは元キリスト教の修道士で、韓国人に古い伝統を大切にしてもらいたいとこの店を始めたという。

お茶は五味子(オミザ)茶・ナツメ茶・ヨモギ茶・ユズ茶・カリン茶など薬効高いメニューが豊富に揃う。食べ疲れ・歩き疲れていた私が勧められたのが、ショウガとシナモンが爽やかに、上品に香るスパイスティー『スジョンガ』。「これは冷たい飲み物ですが、身体の芯は冷やしません。新陳代謝を促し、頭を清くし、神経を安定させます。発汗・風邪・解熱・雑菌などの薬理作用もあるといわれます」(高永順さん)。

では、その作り方をご紹介。水に、シナモンスティックと皮をむいて薄切りにしたショウガを入れ、辛味が出るまで煮立てる。黒砂糖かハチミツで好みの甘さをつけ、完全に冷めたら干し柿と松の実を入れて完成。干し柿がふやけて柔らかくなったくらいが飲み頃だ。

そういえば日本にも昔から『ひやしあめ』というショウガとニッキの甘い飲み物があったっけ。夏場の冷房病対策にはもちろん、胃に優しく食欲を増進させるので、夏バテで食欲のない時にも最適。ぜひお試しあれ。

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