白菊は目を潤し熱をさます 春は「菊花茶」でティータイムを
ぽかぽかした春になると、なぜか目が充血する、眠れなくなる、血圧が上がる‐‐そんな思いをすることはないだろうか。これは自然界の陽気が盛んになることで興奮気味になり、「肝」に熱を持つからと漢方では分析される。「肝は目に穴を開く」という言葉がある通り、目の働きは「肝」によって維持されるため、当然目も影響を受ける。
そこで中国、特に上海・香港などの南の地域では春から夏にかけての季節、「菊花茶」がよく飲まれる。菊の花はその産地によりたくさんの種類があるが、お茶用の菊としては杭州産の「杭菊花」が有名。特に白い色の「杭白菊」は養肝明目作用、つまり血液を増やすことで「肝」の熱を取り、目を潤し、視野を明るくするとされる。
いまの季節に限らなくとも、現代生活はパソコンや携帯電話などで目を酷使する環境にある。血液は目の栄養素の源であることから、漢方では目を使うことで血液が消耗されると考えている。長時間、特に夜間にコンピューターを使うとさらに血液が消耗され、その状態が長く続くと血液不足から目に栄養が行き渡らなくなり、目が乾いたり、かすんだり、ショボショボしたり、大変疲れやすくなる。さらに血液不足が進むと血行障害から頭痛、肩・首のコリが生じる。最終的には精神を安定させる働きにも影響を及ぼし、イライラする、ウツ状態になる‐‐といった症状に至る。
こんな時には、まず一服の菊花茶。最近、日本でもお湯で溶くだけのスティックタイプが発売されたので、手軽に利用したい。加齢による老眼や白内障も肝腎の衰えが引き金となって起こるので、その予防にも有効だ。