百歳への招待「長寿の源」食材を追う:すいかずら

2000.12.10 64号 11面

すいかずら、南天は薬効が高く、中国では漢方薬としてその花・実・茎などが広く利用されている。冬の訪れでカゼの流行に注意したいが、すいかずらは扁桃腺のはれに、南天はせき止めに効果があるので活用したいものだ。

(食品評論家・太木光一)

すいかずらはスイカズラ科の多年草で半常緑のつる草である。生育地は平地から低山帯の原野・丘陵・路傍など日当たりの良い場所である。分布は北海道・本州・四国・九州・沖縄など日本全域にみられる。中国でもほぼ全域にみられ、山東・河南省産は量的にも多く質の面で優れている。

中国では「金銀花(ジンインハオ)」と呼ばれ、初夏5月末から6月にかけて花が開く。初め白色、のちクリーム色、最後に黄色と変わる小さな花で、しかも芳香を放ちながら咲き、金銀を散りばめたように美しいので金銀花と呼ばれる。また別名の「忍冬(レニトウ)」は冬の寒さにも耐え青々と茂っている強さをたたえてつけられた名前である。ミツスイバナ・スイバナは花の蜜が甘いので呼び名となった。

しかも利用法もいろいろ。中国では夏になると、夏バテ防止に金銀花露という清涼飲料がよく飲まれている。甘草と蜂蜜を加えると一段と飲みやすくなり、浄血・解毒・利尿効果も期待される。薬店で金銀花露のエキスが販売されている。

すいかずらの花は香りが高く、生花のおひたしは美味。また三杯酢などの山菜料理として賞味すると風格があり素晴らしい。日本では各地に自生しており入手も容易である。

中国では漢方薬材に向き、薬膳原料として高い評価をうけ多面に利用されている。花そのものにルテオリン・イノシトール・ビタミン・ミネラル・効用花粉・糖蜜などがみられ薬効面での信頼は厚い。

薬理でみると、抗菌性が極めて強く多種の細菌に対して抑制作用がみられる。大腸菌・緑膿菌・百日ぜき菌・ブドウ球菌・肺炎・脳膜炎などに極めて効果的とされている。制菌作用ばかりでなく、消炎・収斂の効果もみられ、カゼが流行すると扁桃腺がはれて熱が出やすくなるが、すいかずらの茎葉を濃く煎じて飲むとよい。

また金銀花酒は昔から不老長寿の酒として珍重されている。疲労回復にも期待され、しかも解毒作用も大きいので、はれもののできやすい人や、冷えとむくみのある人によい。

作り方は5~6月ごろに採集する。花底にある糖蜜を流さないようにサッと洗い、まる一日天日で半干しする。もし入手が困難であれば薬店の乾花を用いてもよい。

材料として金銀花八〇グラム、甘草一〇グラム、ホワイトリカー一・八リットルを用意。三週間もする

と飲めるようになるが、成分が浸出するには三カ月以上が必要。五カ月後には花を引き上げる。

彩りとして美しいファイヤー・オパールに仕上がる。東洋の幽玄さがあり、まろやか、数多くの薬酒の中ではトップクラス。強壮・補精・健胃・整腸・腰痛などによいとされる。

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