おはしで防ぐ現代病:肝臓機能を高めるウコン

2000.11.10 63号 14面

肝臓の故障の原因は、酒だけではない。ウイルス感染に加え、添加物・脂肪・ストレスなど、最近は肝臓を酷使する環境因子が増えている。また、身体をサビつかせる活性酸素も肝がん・肝炎の原因としてあげられている。肝臓は「沈黙の臓器」といわれるほどタフな臓器だが、それだけに自覚症状が現れにくく、異変に気づいた時には機能がかなり低下している場合が多い。抗酸化力に長け、肝機能を高めるというウコンについて健康科学研究所の久郷晴彦所長に聞いた。

肝臓は、腸から運ばれてきた栄養分を適切な形に変えたり、貯蔵したりする大切な臓器です。身体にとって有害な物質の毒性を減らしたり分解したりして身体の外に出す役割もしています。

また一方、身体に有害な細菌などは免疫細胞で処理されます。そこで自然治癒力を高めてくれる、肝臓の免疫力を活性化しておくことは健康維持にたいへん重要なことなのです。

こうした肝臓の機能を高めてくれるのが、ウコンという植物。みなさんにもおなじみのカレー粉には二〇~四〇%ものウコンが含まれています。カレーの黄色のもとは、クルクミンというウコンの主要成分なのです。

いまこのクルクミンが、体内の酸化を防止し活性酸素を除去するという研究成果が続々と報告され、世界中から注目されています。

活性酸素を分かりやすくいえば細胞を蝕む「サビ」。釘をそのまま放置しておくと、サビてぼろぼろになります。私たちの身体の中の細胞も活性酸素によって、細胞をつくっているタンパク質や脂質あるいはDNAなど遺伝子を含む大切な成分が酸化し、傷つけられるのです。

私たちは絶えず呼吸をして、生きるためのエネルギーを作っていますが、利用した酸素の二%くらいは、体内で有害な活性酸素という激しい活性を持つ酸素に変わります。これが細胞を傷つけ老化を促進し、肝炎などの慢性病・がん・生活習慣病を誘発するのです。

一方、私たちの体内には活性酸素の害を消してくれる三つの酵素((1)スーパーオキサイド、ディスムターゼ(2)グルタチオン、ペルオキシダーゼ(3)カタラーゼ)があり、私たちの身体が活性酸素によって傷つけられ、ぼろぼろにならないように防いでくれています。

これら酵素の基本物質のミネラルは体内で作られないため、野菜や海草・小魚などから、長年摂取されてきました。しかし、最近は野菜を育てる土が化学肥料の使用で、これら微量ミネラル不足となってきたため、野菜に含まれるミネラルやビタミンは激減しています。

地球規模的な環境破壊や食を取り巻く環境の悪化など、活性酸素を増やす要因が、さらに多くなってきているいま、私たちは積極的にウコンなど、抗酸化物質を含んだ食品を食べることが大切なのです。しかもそれは、人類の長年の食経験に基づいた安全な食べ物であるべきです。

ウコンは、日本では沖縄、世界ではインドや中国など各地で、薬効のある食べ物として常食されてきました。ショウガ科の植物で、消炎・殺菌作用も高く、インドではウコンを肌に塗って天然痘などの予防をしたり、ウコン染めの衣服を身につけたりします。また、ウコンを乳酸菌などで発酵させることにより、その薬理効果はさらに高まります。

健康は幸せの礎。人生をさわやかに過ごすため、予防医学の健康管理が重要です。生活の中により効果の高い発酵ウコンを取り入れ、体内の抗酸化力を高め、生活習慣病につながる諸症状改善に積極的に取り組みましょう。

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