穀物食のすすめ・次世代を育む生命力宿す
人間の必要とする栄養素は約五〇種類といわれる。精製しない穀物にはそのうち約四〇種類の栄養素が含まれている。そして「生命力」がある。発芽し発根して、次の世代を育てる生命エネルギーがあふれている。カロリー計算では示せない、生命の一番大切な部分をいただこう。穀物主体の食療法・マクロビオティックを取り入れたレストラン『KUSHI GARDEN』のシェフトレーナー、パトリシオ・ガルシア・デ・パレデスさんに聞いた。
私たちは毎日、飲み物・食べ物・空気・電磁波に含まれる有毒な化学物質を身体に取り入れています。この問題は世界中に広がり、地球上のあらゆる生き物に影響を与えています。日本、とくに東京は、他の国よりも問題が深刻です。
今年5月29日に、雑誌『TIMES』に「TOXIC JAPAN‐汚染国日本」という記事が掲載されました。それによると、国連環境計画の昨年の調査では、世界中で放出されているダイオキシンの約四〇%が、日本の焼却炉から出ているとのことです。ダイオキシンは極強な化学物質です。つまり日本人は世界中で一番その害を受けていることになるのです。日本人の健康を脅かしているそのほかの汚染問題としては、大気汚染、ゴミ問題、水銀・殺虫剤・PCBを多く含む沿岸でとれる魚介類が挙げられます。
汚染された生活環境で健康を維持するのは大変なことです。私たちは地球人として環境汚染を改善すると同時に、汚染からの影響を最小限に抑える調節を、日々の生活の中で行っていきたいものです。
健康で体調が良ければ、少々の化学物質が身体に入ってきてもそれを追い出すことができます。しかし身体が弱っていると、取り込んだ化学物質を排泄できず、どんどんため込み、さらに身体を悪くしてしまいます。免疫力、呼吸・消化器官、そして有害物質から身体を守る役割をする肝臓の機能が弱まります。
身体を強くするには質の良い血液を作ることが必要です。そのため大切なのは「よく噛むこと」です。一口五〇回。噛めば噛むほど唾液が出て、唾液ホルモンのパロチンや多くの消化酵素が免疫力や消化を高め化学物質などを外に追い出す働きも強まります。精製しない玄米を主食にすると、よく噛むようになるし、白米のご飯より多くの栄養を吸収できます。またよく噛むことは脳細胞を刺激して、脳の働きをよくするともいわれます。
マクロビオティックとは
現在アメリカを中心に、がん・心臓病・エイズ患者やヘルシーな生き方を求める人等の間で人気の食事法。その世界的指導者である久司道夫さんは以前小紙インタビューに「マクロビオティックはその土地や風土にあった食べ物を食べ、人間本来の自由で健康な心と身体を取り戻すこと。日本古来の伝統食が基本です。いまの日本人は古来の伝統に疎く、いまなお欧米型の生活を推し進めていることは残念です」と語った。
食べ物は身体だけでなく考え方や行動にも影響する。凶悪な囚人がマクロビオティックを実践したことで穏やかな性格に変わったという実績もある。最近は日本でも少年の犯罪が目立つが、日本古来の穀物主体の食生活にすることで、その子本来の穏やかな性格が取り戻せるという。
マクロビオティックレストラン KUSHI GARDEN
東京都千代田区神田錦町三‐一九‐二一橋ビル一F 03・3294・9455 土・日・祝定休
無添加・無農薬の食材を使用し、肉・卵・乳製品・砂糖などを使わない独自の調理法で、前菜、メーンからデザートまで提供している。月に二度マクロビオティック料理教室も開催。
健康維持生活のヒント
○穀物・野菜を食生活の中心にする
○なるべく有機栽培または昔ながらの自然製法で作られた食べ物と飲み物を選ぶ
○化学物質は動物の脂肪に多く蓄積する。特に飽和脂肪を多く含む動物性食品は少なめに
○魚は深海で取れるものや都市や工場地帯から離れた沿岸で取れるものを選ぶ。また養殖ものは避け、脂肪分の少ない白身魚を食べる
○海草(昆布・ワカメ・ヒジキ・海苔)を定期的に食べる。なるべく天日干しのものを選ぶ
○自然製法で作られた発酵食品(味噌・醤油・たまり・梅干)を定期的に食べる
○赤米や黒米といった古代米を時々食べる
○料理には浄水かミネラルウオーターを使用する
○よく噛む(一口50回)
○アルミ鍋は避ける
○テレビやコンピューターなど電磁波の出るものの使用は最小限に
○綿などの自然繊維の洋服を着る
○化粧品も自然なものを使う
○植木を家の中に飾る