ストレスの正体とは何か?:ストレス学基本講座、自然治癒力が切れると・・・・
ストレス(STRESS)という言葉には圧迫・圧力・緊張・刺激などの意味がある。ストレスが病気の原因になり得ることが提唱されたのは、一九三〇年代のこと。まず米国ハーバード大学のB・キャノン博士が「ホメオスターシス(恒常性維持)」という考え方を示し、それからカナダのセリエ博士が「ストレス学説」を発表した。
キャノン博士は、「自然治癒力の主体は、内部の恒常性を保とうとする修正能力であり、この作用は自律神経によってコントロールされている」とした。ホメオスターシスとは、例えば気温の変化に応じてうまく体温を一定化したり、血液や体液の成分が常に一定に保たれる仕組みのこと。修正作用は神経系だけでなく、免疫系や内分泌系とも深くかかわっていることが分かった。
セリエ博士はこの考えをさらに発展させて「有害な刺激を受けた生体は、最初はこれに適応しようと自然治癒力を発揮するが、最後に疲れ切ると病気になる」とした。その刺激とは、精神的なものだけでなく、寒冷・放射線・騒音・薬物・細菌感染なども含めて考えられている。
ストレスが原因となって起こる病気には、神経症やうつ病のような心の病気のほかに、「心身症」と総称される身体の病気もある。代表的なものとしては、気管支喘息や高血圧、狭心症、胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、過敏性大腸症候群など。アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、更年期障害などもあげられる。