おはしで防ぐ現代病:緑茶のカテキンに殺菌・抗毒作用

1999.09.10 48号 14面

近年話題の多い「食中毒」。家庭ではカビが繁殖しやすい6月に意識が高まる傾向があるようだが、実は9月に最も多く発生するという。生物を多く使う日本料理では食中毒予防が昔からの知恵として取り入れられている。例えば「寿司」は酢、わさびを使い、緑茶を飲む、これが予防につながる。今回は緑茶カテキンの殺菌作用について研究している昭和大学医学部細菌学教室の島村忠勝教授に聞いた。

食中毒とは下痢や嘔吐などを伴う、食物による中毒を指します。最も発生しやすいのは9月。夏場から初秋にかけては病原菌が増殖しやすいし、暑さのために人間の抵抗力が落ちる、また加熱殺菌しない食品を摂る機会が多いなど食中毒が発生しやすい条件がそろうためです。食中毒の原因となる細菌は数多くありますが中でも魚介類をよく食べる日本では「腸炎ビブリオ」、さらに加工食品の汚染事件で問題になった「サルモネラ」、集団感染で問題になった「O157」が最近の食中毒三大原因菌と呼ばれており注意が必要です。厚生省が作成した「家庭でできる食中毒予防の六つのポイント」を要約すると鮮度の高い物を購入し、賞味期限内に食べる、冷蔵庫の温度は一〇度以下、冷凍庫はマイナス一五度以下に維持する、調理したり食卓につく際には手洗いを心がける、野菜類は流水でよく洗うなどです。

またお茶の成分であるカテキンは細菌性の食中毒の原因となるほとんどの菌に対して殺菌・抗毒素作用を示します。通常飲用濃度の緑茶一ミリリットルを一万個のO157に作用させた結果、三~五時間ですべて殺菌できたという実験結果も得られています。

お茶をはじめ日常的な食品の中にも食中毒予防に役立つ物がありますから効果的に取り入れるようにすると良いでしょう。

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