百歳への招待「長寿の源」食材を追う「柿の葉」
柿の学名はディオスピロス・カキでギリシャ語でディオスは神の、ピロスは贈り物の意。神からの贈り物となる。日本と中国が原産とみられるが、現在ではヨーロッパ・アメリカ・南アメリカなどで広く産出されている。
柿は実を始め、柿葉・柿皮・柿花・柿餅・柿のヘタ・柿渋・柿霜・柿木皮などすべて漢方薬剤と認められており、薬効が高い。
「若葉のころ柿の木にもたれていると健康になる」「柿の実が赤くなると医者が青くなる」ともいわれ、病気の予防や治療に対し効果的であるとする伝承が多い。
中国でも柿の効用として(1)樹多寿(利用価値が高い)(2)葉多陰(葉が多く緑陰をつくる)(3)無鳥巣(鳥は巣をつくらない)(4)無虫木(害虫がつきにくい)(5)霜葉可玩(干柿につく白い粉は美味である)(6)佳美可痰(実はよく痰をきる)(7)落葉肥大(落葉は多く肥料となる)と七つの長所を挙げている。
柿の葉茶は古くから健康茶として民間で飲まれ、ビタミンCを最も多く含む食品である。一〇〇グラム当たりの含有量(単位ミリグラム)は柿の葉(若葉)一〇〇〇、柿の葉(成葉)五〇〇、パセリ二〇〇、ブロッコリー一六〇、レモン九〇、ほうれん草六五、シソ六五、キャベツ四四となる。いかにビタミンCが多いかが理解されよう。CだけでなくA・K・葉緑素・カルシウムなどにも恵まれている。
ビタミンCが青年期から中年期にかけて不足すると心臓病を始め、循環器系の病気や胃腸障害、高血圧、糖尿病などの発生の要因とされるから恐ろしい。ビタミンCの大量摂取は乳幼児や妊産婦には特に望まれ、また酒や煙草を多くとる人にも大切。最近では美肌を保つ美容食品ともみられている。
この柿の葉茶づくりは容易で、5~6月に若葉をつみ、水洗いして五ミリ幅に切り二~三日風干して最後に天日に干せば出来上がり。成葉の場合は水洗いして刻んだ葉を蒸し器で五~六分蒸し、あとは若葉と同じようにする。柿の葉の乾燥品を二リットルの水、柿葉百枚の分量で煮立て三分ほどおき、この煮汁を飲用とする。高熱の時に飲むとよく効く。柿茶・柿の葉茶がティーバッグで市販されているから紅茶の要領で飲むこと。七〇度ほどの低温が望まれる。中薬大辞典には内服すると止血(胃潰瘍など)に卓効があり、血小板の減少の治療にも効果の高いことを称えている。
日本では柿の葉を食材として利用している。天プラ・和え物・サラダなどが代表的だ。吉野地方では柿の葉ずしが有名。塩サバをすし飯の上にのせ、柿の若葉で包み、桶か鉢に並べて重しをして押しずしにする。半日ぐらいで柿の葉の香りが移りおいしい。
また柿の葉には殺菌作用があり、柿の葉で歯を磨くと歯槽膿漏が治るといわれ、虫歯の予防や口内炎にも効くなど利用価値は高い。