おはしで防ぐ現代病:「糖尿病」降糖粉とは?

1998.05.10 32号 8面

糖尿病の怖さは、進行とともに誘発される合併症だ。例えば糖尿病性網膜症の場合、糖尿病歴一○年以上の半数、二○年以上では八割の確率で発症するという。高い血糖が続くと網膜に通っている毛細血管が詰まって酸素や栄養分が送られず脆くなる。重症となると網膜剥離を引き起こし失明する。日本で七人中一人が患者&予備軍だといわれる昨今、中国でも、生活レベルの向上につれ糖尿病の発病率は増加傾向にあるという。中国の糖尿病専門医で、糖尿病治療食開発者の医師、葉秀華さんにきいた。

Q 中国での糖尿病患者数は? また、中国で行われている治療法とは?

A 現在、地域レベルの調査によると、糖尿病の発病率は一・五~二・四%ですが、中国全土ではおそらく一五○○万人以上と推定されます。糖尿病の治療は血糖値を下げることが基本。軽症なら食事療法中心、重症であればそれに薬物療法との併用が必要になります。しかし血糖降下剤を服用した場合、低血糖を起こす危険性があるため、薬剤に変わり低血糖の心配のない食品が求められています。

Q 食事療法に最適な食品を開発されたそうですが?

A 血糖値を下げるのに非常に効果があるので「複方降糖粉」と呼ばれています。降糖粉はニガソバを主原料として、中国カボチャ、そのほか食用漢方が配合されたもので2型糖尿病(インシュリン非依存型)には特に有効です。中国の四病院で行った臨床試験で、九五%の糖尿病患者の血糖値が下がり自覚症状にも軽減がみられました。さらに糖尿病性高脂血症も九○%の患者が改善されています。

Q 降糖粉の使用法は?

A 病院食(糖尿病治療食の原料)や業務用(乾麺、インスタント麺、ビスケット)のほか、家庭では小麦粉と混ぜて、手打ち蕎麦・うどん・餃子を作ったり、お粥や饅頭に入れています。また、スパゲティにも入れ国外に輸出しています。降糖粉は化学薬品など一切含まれていない自然食品であり極めて安全です。例えば降糖粉の主成分であるニガソバは、コメや麦と同様に主食として利用されてきたもの。他の配合成分も穀類野菜類で、長期間使用しても副作用が全くみられなかったことが実証されています。ただ、中国では、予防や治療に使用されかなり広まってきたものの、日常の食生活費が日本に比べると格段に安いので、食事療法にかけられる費用も制限されます。そのため相対的に高価なイメージをもたれがち。その点、日本の場合は患者も多く物価も高いため、中国より広まると思われます。糖尿病は完治は困難。でも上記の五原則を守り、降糖粉を取り入れた食事療法を粘り強く続ければ、血糖値をコントロールでき、合併症の発症や進行を食い止められるのです。

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