本の中から 大きな森の小さな家 最高のおやつ“豚の尻尾”

1997.11.10 26号 19面

“大きな森のちいさな家”では少女ローラの目を通して、大自然との共生が日常的に描かれる。

特に厳しい冬に備え、食糧を蓄えていく様子にわくわくした。中でも飼っていた豚の解体場面は印象的だ。屠殺の瞬間こそ耳を塞ぐ子供たちも、食糧への変化の過程を興味深くみつめている。皮をなめし、肉は塩漬けや燻製。膀胱は風船としておもちゃに。そして尻尾の丸焼きが子供たちの最高のおやつになる。豚に限らず、森から得られるすべてに対し、何一つ無駄にしていないのだ。

ところで、このおやつの豚の尻尾、なんともおいしそう。でも肉売場で尻尾を見た覚えはない。そこで、日本畜産副生物協会に問い合わせてみた。

残念ながら日本では尻尾は食用ではなく、飼料や肥料に加工される。細くて短いためほとんどが骨。残りはゼラチン質で、強いて言えば豚足に似ているとのこと。おやつの味見は出来ないが、使い尽くす姿勢はこの国でも。少し嬉しくなった。(A)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら