富士総合研究所、世代間不公平の実態でレポート

1996.03.10 6号 9面

富士総合研究所は財政がもたらす世代間不公平の実態と今後の対応に関するレポートをこのほど発表した。

日本では高齢化の進展などを背景に財政を通じた世代間不公平が生じているといわれる。高齢化によって現在の若・中年層の負担は重くなっていると思われるが実際にどのくらい重いかは不明だ。

同レポートでは、現在世帯主が四〇歳以上の世代は生涯で年金などの給付額が負担額を上回るのに対し三九歳以下では純負担になると指摘。現在四〇歳以上の世代は一世帯当たりの生涯額で一五〇二万~四六二一万円の純受益になり三九歳以下では六八二万~三六二七万円の純負担で、とくに一九歳以下では三〇〇〇万円以上の純負担となり将来の世代の負担が大きい。また、世帯主が六〇歳以上の世帯割合が九三年の二五%から二〇五〇年には四〇%に上昇するとしている。

また総論として各世代の生涯を通じた影響のような長期的な視野をもった政策運営が必要で、もしも政策当局が財政を通じた世代間の不公平を無視した政策を続けていった場合、不公平が拡大する恐れが十分あり、負担の重い世代の不満が高まり、年金制度をはじめ現在の財政制度の存在そのものを揺るがすことにもつながりかねないと指摘し、世代会計の考え方を取り入れ財政政策実施の際に年齢階層別の生涯純受益額を新たな指標のひとつとすることが求められる、と提案した。

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