アポなし!新業態チェック(100)「グズマンイーゴメズ」ラフォーレ原宿店

2015.08.03 437号 10面

 ●TGO社が原宿にメキシカン出店現代風ファストカジュアル

 “世界一の朝食”で知られる「ビルズ」やイスラエルのチョコレート店「マックスブレナー」など、海外から話題の店舗を日本に上陸させているトランジットジェネラルオフィスが、オーストラリアで人気のメキシカンファストフード「グズマンイー ゴメズGuzman y Gomez)」をオープンさせた。

 出店したのは、東京・原宿のラフォーレ原宿。開業から40年近くたったいまも、東京のファッション発信地として存在感を示す商業施設だ。店舗は黄色をモチーフとした現代風デザイン。店内にはニューヨークのDJがミックスしたラテン音楽が流れ、メキシコの現代アート作品などが飾られたモダンなファストカジュアルのスタイルとなっている。

 フードメニューは、「ブリトー」(ラージ1300円、レギュラー800円)、「タコス」(ソフトシェルとハードシェルが選べる)や「ケサディーヤ」(いずれも、2個850円、3個1000円)、「ナチョス」(ラージ1350円、レギュラー800円)、「エンチラーダ」(1500円)など、メキシコ料理の定番であるトルティーヤを使ったボリューム感のある商品がメーン。それぞれ、チキンやビーフ、フィッシュなどのフィリング(具材)を選ぶことができ、サルサ、ワカモレといったディップもサイドメニューとして取り揃えられている。多くの食材は、店舗で手作りされる新鮮さだ。

 同ブランドは06年の創業で、現在は世界各地に50店舗ほどを展開。各店舗のオープン日を「フリーブリトーデー」と呼び、1日で6000個以上のブリトーを無料で提供することで知られる。

 ★けんじの評価

 同店が入居するラフォーレ原宿では、その出店に合わせて2Fフロアにフードエリアである「GOOD MEAL MARKET」をオープンした。ラフォーレ原宿の明治通りを見下ろすメーン館内に、飲食スペースが設置されるのは、はじめてのことだという。同店の他、韓国発の蜂蜜を使ったソフトクリーム「ミルクカウ」と、行列のできるフレンチフライ専門店「アンド ザ フリット」の2店舗を揃えた小型のフードコート的なスペースだ。ファッション業界では長く不況の嵐が吹き荒れており、衣料品ブランドの多くが雑貨や飲食の分野に販売戦略をシフトしている。若い女性や新進のデザイナーたちがあこがれる原宿ファッションの聖地も、そうした流れから逃れることはできないようだ。

 メキシコ料理は、和食よりも先に世界無形文化遺産に認定された歴史と伝統ある料理。また、メキシコと日本は江戸時代から国として交流の深い関係にあり、メキシコは非常な親日国なのだが、そうしたことを多くの日本人にはあまり知らない。

 トランジットジェネラルオフィスは飲食企業というよりも、さまざまな分野のブランドプロモーションを得意とする企業であり、ビルズやマックスブレナーなど、日本ではほとんど無名のブランドをそのノウハウで一気に有名店に仕立て上げた。タコベルの再上陸などメキシカンフードが話題になりつつある中で、新たなエスニックのトレンドが生まれる気配は濃厚だ。すでに日本に定着したコロナビールや、テキーラのようなアルコール類も人気のメキシコ料理が、今後どのように進化するか注目すべきだろう。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期からFFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウォッチャー。

 ●店舗情報

 開業=2015年4月29日/所在地=東京都渋谷区神宮前1-11-6、ラフォーレ原宿2F

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら