惣菜弁当研究所:ローカル名物紀行 コープさっぽろ「三元豚のロースかつ丼」
◆大のお得感で中・小が好転 年1回のテコ入れで毎年グレードアップ
カツ丼は、惣菜売場のマストアイテムであり、インストア調理の力量を測る指標でもある。その大黒柱に毎年改良を重ねて、不動の販売数トップを誇るのが「コープさっぽろ」(108店舗)の「三元豚のロースかつ丼」だ。道民好みと評される「甘しょっぱいタレ」が独特で、なにより、カツ丼では珍しい「大・中・小」のサイズ分けがユニーク。「大」のお得感が「中・小」の売れ行きをけん引する必見事例だ。
●発祥と普及:進化して毎年新作が登場
「コープさっぽろ」では、カツ丼は古くから販売されており、「大・中・小」にサイズ分けされたのは2000年ごろらしい。カツ丼の存在も、サイズ分けの提供も、当事者にとっては普通すぎて「なにをいまさら」といった様子。それよりも、年に1回行う、カツ丼のリニューアルが惣菜チームの主要課題であり、いわば毎年、グレードアップした新作に切り替わっている。
●調理概要:柔軟な創造と勇気ある決断
以前は、小鍋で一つずつカツ煮を作っていたが、売れ行きに追いつかないので、スチコン一括調理に変更。タレ、豚肉、切り方、盛り付けなど、なにかしらを毎年変更して進化し続けている。カツ丼の売れ行きには「1年経つと1~2割下がる」という販売サイクルがあり、そのテコ入れ策を考えるのが惣菜チームの恒例課題。スペックが決まっているカツ丼を変更するには、柔軟な創造と勇気ある決断が必要だという。
直近のテコ入れ策は、北海道産昆布だしを加味した濃厚なタレと、三元豚への変更。
●販売概況:大・中・小は1・7・2
豚肉・ご飯の分量は、大=150g・270g、中=100g・180g、小=50g・140g。販売比率は大1割・中7割・小2割。日販は店舗規模により異なるが上位店で合計70~100食。午前中に50~60食を陳列して、売れ行きを見ながら補充する。カツ丼の販売数は弁当・丼類の中で断トツ1位。
●ポイント:メガ盛りでお得感を演出
スーパーのカツ丼の場合、普通とハーフの2サイズ提供は普通にあるが、大・中・小の3サイズ提供は、意外に珍しい。同店ではカツ丼に限らず、惣菜の「メガ盛り」を実施。ギョウザ50個、鶏唐揚げ1kg、焼き鳥100本など、多くの惣菜で驚異のサイズを提供。大サイズを置くと、売場が華やぎ、「お得感」も演出でき、普通サイズの売れ行きが好転するという。売れ残りリスクがあるので、毎日はできないが、長年の実績から売れる日時は分かっているので、出せば絶対に売り切るという。
◆コープさっぽろ名物!メガ盛りとパーティーパック
「コープさっぽろ」は、惣菜のほとんどの商品で「メガ盛り」や「パーティーパック」を提供している。焼き鳥100本、鶏唐揚げ1kg、ポテトフライ1kg、たこ焼き100個など、驚異のサイズを売場に置くと、客が驚いて注目するだけでなく、意外に安価だという「お得感」も演出できる。メガ盛りによるアイキャッチは、デリカ売場のにぎわいを演出する即戦力であり、「買わなくても見に行くだけで楽しい」と大好評。「コープさっぽろ」の名物の一つになっている。
●「三元豚のロースかつ丼」
販売実績:日販・70~100食 ※店舗により異なる
◆店舗概要
コープさっぽろ
経営:生活協同組合コープさっぽろ
本部・札幌市西区発寒11条5丁目10-1