秋季漬物特集
◆秋季漬物特集:多様化する消費者 こだわりや特別感で掘り起こし
◆発酵漬物認定も引き金に
社会構造の変化で、消費者ニーズは多様化している。健康を切り口とした情報番組で何らかの効果があると取り上げられた食品は、規模の大小や時期の長短はあるもののブレークは必至だ。健康というキーワードは大前提となる。
女性の社会進出、単身・2人世帯の増加、少子高齢化、寿命が伸びたことによる年金受給者の増加など、30年ほどで環境は変化した。健康に加え、時短、簡便、個(孤)食が求められている。若年層を狙うならエシカル消費も見逃せない。品質や価格帯についてもより多くの選択肢が要望されてくる。
平均値を狙った大量生産、大量消費はメーカー、量販店にとっては都合がよく効率的だが、多様化する消費者の暮らし方、食べ方には合致しなくなってきた。何らかのこだわりや特別感を打ち出せれば、横並びの消費に満足しない層を掘り起こせる。その意味では、漬物には大きな可能性がある。
全日本漬物協同組合連合会(全漬連)が8月1日から「発酵漬物」の認定申請受け付けを開始した。一定基準以上を満たした全漬連会員の農産物漬物を発酵漬物として認定し、製品に全漬連が定めた認定証票のマークを付することで、健康への寄与、消費者の信頼性確保、漬物産業の発展を図る。
「乳酸発酵漬物」と「発酵床熟成漬物」の2種類で、乳酸発酵漬物は、乳酸菌数、pHの値に基準を設け、かぶらずし、キムチ、しば漬け、すぐき、高菜漬けなどそれ自体が乳酸発酵しているものが対象となる。
乳酸床熟成漬物は、微生物の発酵によって製造されたぬか、味噌、醤油、酒かす、麹などを含む発酵生産物の漬床や漬液などに一定期間漬け込んだかす漬け、麹漬け、奈良漬け、ぬか漬けなどが対象。漬床に対する発酵生産物の割合や熟成期間、漬け替え回数など認定基準を明確に設けた。
発酵食品であると明確化するだけで、大きな付加価値になると期待されている。(小島麻由美)