米菓市場に新風 カップ・パウチで開拓 スナック化への挑戦も

菓子 ニュース 2020.04.20 12041号 01面
パウチやカップなど容器提案で若年層の消費を喚起。米菓の技術を使った洋風・スナック化商品も

パウチやカップなど容器提案で若年層の消費を喚起。米菓の技術を使った洋風・スナック化商品も

日本の伝統菓子として国内外から価値が認められ比較的堅調に推移している米菓市場だが、次の一手が示せず成長へ足踏みが続いている。そんな中、米菓の洋風化模索やスナック売場を見据えたカップ・チャック付きパウチ容器採用による若年層の需要開拓、米菓の技術を使ったスナック菓子など、一つのカテゴリーにとどまらない挑戦も見られる。米菓業界に新しい風が吹いてきた。(山本大介)

米菓市場の19年(1~12月)は、生産金額ベースで前年比2.8%増の2856億円で着地した。ここ数年は大きなぶれもなく比較的安定した市場だ。しかし、次代の消費を担う若年層の消費喚起策が長年の課題だった。これまで、チーズおかきや柿の種のチョコレート掛け、米粉スナックなど、従来のあられ・せんべいにはない提案を行ってきた。15年前に越後製菓から米菓が口溶けする全く新しい「ふんわり名人」が上市されてから、なかなか大きなヒット商品が生まれず、強い既存ブランドが市場を支えているのが現状だ。

総務省の家計調査(2人以上世帯、図)によると、せんべいの購入額は年齢が高くなるにつれ増加。50代以降は平均を上回る傾向にあるが、逆に40代以下の消費は平均を下回る。こうした中で、従来の米菓にはなかった容器と新たな食感を追求した商品で、若年層の購買意欲を刺激する動きも見られる。

トップの亀田製菓は、柿の種を砕いて固め新食感を実現した「タネザック」を18年9月に発売しカップ入りの新スタイルを提案。今春はミックス米菓での差別化を図るため、あられを洋風に味付けした「アラコレ」を上市。

また、近年の時短・簡便ニーズでチョコやスナック菓子で広がったパウチタイプを、米菓で採用する動きも見られる。三幸製菓はアーモンドをあられで包んだ「キャラメルアーモンド」など3品、ブルボンは小さい米パフをチョコなどでコーティングした「お米のクリーミーチーズボール」「同いちごぼーる」をそれぞれ今春発売。米菓のスナック提案として、新たな売場への進出を狙う。

阿部幸製菓は、逆にスナック菓子の購入が50歳以降で減少していることに着目。スナックは食べたいが若いころのようにポテトチップスなど食べられない層をターゲットに、あられの技術を応用した米菓風ジャガイモスナック「じゃが揚げ」を3月末から発売。岩塚製菓が16年に「米+じゃがいもあられ」を発売したが、「じゃが揚げ」はマッシュポテトではなく生の原料にこだわったのが特徴だ。

商品開発への投資も進む。岩塚製菓は中長期を見据えた新工場建設とともに、研究所「BEIKA Lab」を今年11月に完成予定。今までにない米菓の創造に挑戦していく意向。

若者の米菓離れが進む中、コメ文化の伝統を守る重要な使命を背負いながらも次のステージを見据えた各社の取組みが今後も期待される。

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